猪股 英俊¹, 西里 卓次², 菊池 尚平¹, 長町 康弘², 村松 博士¹, 山内 尚文², 小山 隆三², 井原 康二²

Hidetoshi INOMATA¹, Takuji NISISATO², Syouhei KIKUCHI¹, Yasuhiro NAGAMACHI², Hirohito MURAMATSU¹, Naofumi YAMAUCHI², Ryuuzou KOYAMA², Kouji IHARA²

¹清田病院消化器科, ²清田病院内科

¹Department of Digestive Disease, Kiyota Hospital, ²Department of Internal Medicine, Kiyota Hospital

キーワード :

【目的】
膵体部は超音波検査にて比較的良好な画質で描出されるが，膵頭部と尾部ではしばしば描出範囲が狭く，画質も低下することが多い．後腹膜臓器である膵は移動性が乏しいと考えられがちだが，体位変換で膵病変が移動して，描出可能になることは，ときに経験され，また報告されている．しかし，移動距離の検討は我々が調べた限りない．今回，我々は，椎体前面の領域で膵超音波の良好な画像が得られ易いと考え，膵頭部，尾部が側臥位でどのぐらい移動するか，検討することにした．また，膵長径も移動距離との比較のため，CT上で計測した．
【対象】
健常人ボランティア20名（男7名，女13名）．
【方法】
全体像が把握し易い単純CTにて，左右側臥位と仰臥位で膵を撮像し，移動距離を計測した．椎体の前面の正中を基準点とし，左→右をX軸，背→腹をY軸方向とした．
【結果】
膵頭部端（仰臥→左側臥位）はX軸方向に平均25.1±7.13mm，Y軸方向に12.7±8.51mm移動した．膵尾部端（仰臥→右側臥位）はX軸方向に-22.6±11.3mm，Y軸方向に20.1±9.49mm移動した．膵長径　111.5±7.1mm （男122.3±14.0mm, 女105.7±13.1mm）
【考察】
膵の超音波において，20mmのX軸方向の移動は膵長径の2割弱に相当し，描出範囲の拡大に，10-20mmのY軸方向の移動は画質の改善に十分影響すると考えられる．