Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
消化器:健診・その他

(S386)

当院におけるリンパ節腫大に対するEUS-FNAの有用性

Usefulness of endoscopic ultrasound-guided fine needle aspiration for lymphoadenopathy in Daido hospital

野々垣 浩二, 小川 和昭, 藤原 晃, 榊原 聡介, 印牧 直人

Koji NONOGAKI, Kazuaki OGAWA, Ko FUZIWARA, Sousuke SAKAKIBARA, Naoto KANEMAKI

大同病院消化器科

Gastroenterology, Daido Hospital

キーワード :

【目的】
リンパ節腫大における超音波診断においては形態学的に良悪性の鑑別がある程度可能であるが,特に原発不明の悪性リンパ節腫大が疑われる場合には治療方針の決定に組織診断が必要不可欠である.悪性腫瘍のステージングにおいてもリンパ節腫大の良悪性を組織学的に診断することで治療方針に寄与する場合もある.当院では2009年4月にEUS-FNAを導入した.今回我々は,当院におけるリンパ節腫大に対するEUS-FNAの有用性と成績について評価した.
【対象】
2009年4月から2010年12月までに当院で施行したリンパ節に対するEUS-FNA9例(縦隔リンパ節3例,腹腔内リンパ節6例).男性8例,女性1例.原則として他のmodalityでは診断が確定できず,組織診断を得ることで治療方針の決定に寄与するリンパ節のみをEUS-FNAの対象とした.
【方法】
EUS観測装置はEU-ME1,穿刺針は,NA-200H-8022 22G(Olympus),内視鏡はGF-UCT240(Olympus)を使用した.
【結果】
9例全例で組織採取は十分に評価可能であった.9例のうち5例で免疫染色を付加することでより正確な診断が可能になった.最終診断は縦隔リンパ節の3例については,いずれも肺癌と診断された.このうち2例では,EUS-FNA施行前より肺癌が疑われ,気管支鏡を含めた呼吸器科的精査が行われたが確定診断に至ることができなかった.腹腔内リンパ節では,3例で悪性リンパ腫と診断した.免疫染色を施行することでリンパ腫亜型についても分類可能であり,1例では免疫染色にてT細胞性リンパ腫と診断した.B細胞性リンパ腫と診断した1例では,馬尾神経腫瘍精査中にリンパ節腫大を指摘されEUS-FNAにてリンパ腫と診断することで侵襲のかかる手術を回避することができた.他の3例では転移性リンパ節(肝細胞癌1例,スキルス胃癌1例,食道癌1例)と診断し,正確なステージングが可能となり治療方針の決定に寄与することができた.手技に伴う合併症は1例も認めなかった.
【結語】
リンパ節腫大に対するEUS-FNAは安全で極めて有用であった.特に悪性リンパ腫や原発不明のリンパ節腫大の診断において,EUS-FNAで得られた組織に免疫染色を付加することで,より正確な診断が可能となり治療方針の決定に大きく寄与することができた.