Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
消化器:肝腫瘍3

(S382)

慢性肝疾患に発生した小型肝内胆管癌の超音波像の検討

Sonographic findings of small intrahepatic mass-forming cholangiocarcinoma in chronic liver disease

松本 直樹1, 斎藤 聡1, 小林 正宏1, 池田 健次1, 熊田 博光1, 竹内 和男2, 渡辺 五朗3

Naoki MATSUMOTO1, Satoshi SAITO1, Masahiro KOBAYASHI1, Kenji IKEDA1, Hiromitsu KUMADA1, Kazuo TAKEUCHI2, Goro WATANABE3

1虎の門病院肝臓センター, 2虎の門病院消化器内科, 3虎の門病院消化器外科

1Department of Hepatology, Toranomon Hospital, 2Department of Gastroenterology, Toranomon Hospital, 3Department of Digestive Surgery, Toranomon Hospital

キーワード :

【目的】
肝内胆管癌(ICC)は発見時に既にかなり進行していることが多く,いまだ予後不良である.肝細胞癌と違って高危険群の囲い込みが無いことにより,定期的な検査が行われていないことがその一因である.また,近年HBV,HCVの関与が言われており(Cancer. 2000 Jun 1;88(11):2471-7),これらの群ではフォローされているため小型で発見される例も散見されるが,それでも多くは増大してから指摘される.そこでICC早期発見の手掛かりを検索することを目的として,小型のICC症例の超音波像について検討したので報告する.
【方法】
対象は2001年1月〜2010年12月に当院で精査を行った,慢性肝疾患を背景とする最大径3cm以下の腫瘤形成型ICC12例.腫瘍径は中央値25.0mm(15~30mm).男性8例,女性4例,平均年齢65.8歳(54~75歳).背景肝は慢性肝炎/肝硬変:5/7例.HBV陽性/HCV陽性:2/6例.これらの超音波所見を3cmより大きい腫瘤形成型ICC14例と比較した.
【結果】
3cm以下のICCは,内部エコーは高/等/低/mix:2/0/6/4例.Halo有り/無し:3/9例.外側側方陰影有り/無し:4/8例.後方エコー増強有り/無し:4/8例.肝内胆管拡張有り/無し:1/11例.境界明瞭/不明瞭:2/10例.不整形/類円形:5/7例.3cmより大きいICCは,内部エコーは高/等/低/mix:3/3/5/3例.Halo有り/無し0/14例.外側側方陰影有り/無し:3/11例.後方エコー増強有り/無し:2/12例.肝内胆管拡張有り/無し:8/6例.境界明瞭/不明瞭:2/12例.不整形/類円形:12/2例.両群を比較すると,3cm以下のICCは肝内胆管拡張(P=0.0105)が少なく,類円形 (P=0.0210)が多かった.
【考察】
ICCの特徴的超音波所見として,不整形,境界不明瞭,腫瘍内を貫通する血管,末梢の肝内胆管拡張などが言われている.本検討の結果からは小型ICCにおいては,不整形,肝内胆管拡張といった所見はあまり多くは見られなかった.慢性肝疾患において小型の類円形の腫瘍を発見した場合,ICCを鑑別に挙げることも必要と考えられた.