Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
消化器:肝腫瘍3

(S381)

慢性肝疾患に伴う肝腫瘤性病変におけるソナゾイド造影超音波とEOB-MRIの診断能の検討

Comparison with Sonazoid-enhanced ultrasound sonography and EOB-MRI for the hepatic nodules in to chronic liver diseases

光安 智子, 植木 敏晴, 野間 栄次郎, 川本 研一郎, 馬場 崇徳, 蓑田 竜平, 松井 敏幸

Tomoko MITSUYASU, Toshiharu UEKI, Eijiro NOMA, Kenichiro KAWAMOTO, Takanori BABA, Ryuhei MINODA, Toshiyuki MATSUI

福岡大学筑紫病院消化器内科

Gastroenterology, Fukuoka University Chikushi Hospital

キーワード :

【目的】
慢性肝疾患に発生する肝腫瘤におけるソナゾイド造影超音波検査(造影US)とEOBプリモビストMRI(EOB-MRI)の診断能について検討する.
【方法】
対象は,慢性肝疾患に発生した肝腫瘤性病変25結節で,肝細胞癌(HCC)17結節,肝内胆管癌(CCC)2結節,良性結節6結節である.診断装置は東芝AplioXG(ハーモニックモード:送信周波数1.75MHz,受信周波数3.5MHz,MI値0.3)を使用.腫瘍径;7〜45mm.Focusは結節の最深部に設定(4.0cm〜10cm).ソナゾイド懸濁液は推奨量の半量を静注したのち約1分血管相を撮影し,観察を一旦中止,20分以降を後血管相として観察した.全結節に造影USとEOB-MRIを施行し,診断確定は血管造影,肝腫瘍生検または切除のいずれかで行った.造影US,EOB-MRIの所見を比較するために,それぞれ診断に有用性が高いとされている造影USは後血管相,EOB-MRIは肝細胞相の所見を以下のとおりに分類した.すなわち,1.造影US;後血管相において周囲肝と比較して低エコーとなるものをHypo,等または高エコーとなるものをIsoとした.2.EOB-MRI;Gd-EOB-DTPA静注後15分後の肝細胞相において低信号となるものを陰性結節,等信号または高信号となるものを陽性結節とした.
【成績】
1.造影US;HCC/CCC19結節中Hypoが16結節(84%),Isoが3結節(16%),良性結節6結節中Hypoが3結節(50%),Isoが3結節(50%),2.EOB-MRI;HCC/CCCで陰性結節が13結節(76%),陽性結節が6結節(35%)で,良性結節で陰性結節が4結節(67%),陽性結節が2結節(33%)であった.
【考察・結論】
HCC,CCCの典型例では,造影USの後血管相にて周囲肝と比較し低エコーに,EOB-MRIの肝細胞相にて低信号となるものが多いとされている.今回の検討での正率診率は,造影USで76%,EOB-MRIで60%であった.EOB-MRIで陽性結節となる6結節のなかには,高分化HCCとCCCがそれぞれ1結節ずつ含まれていた.造影USでIsoとなる3結節は高分化HCCであった.良性結節では,造影US,EOB-MRI ともにその半数の診断は困難であるため,総合的な画像診断が必要となる.双方の検査の侵襲性と簡便性を考慮すると,造影USの有用性は高いと考えられるが,腫瘍の存在部位や深度によっては診断が困難な場合もあるため,この点を踏まえた選択が望ましい.