Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
血管:静脈

(S371)

新しい超音波ガイド下中心静脈穿刺長軸アプローチ

A novel long-axis approach for ultrasound-guided central venipuncture

徳嶺 譲芳1, 米井 昭智2, 山雄 さやか3, 青木 光広4, 福井 秀公5

Joho TOKUMINE1, Akitomo YONEI2, Sayaka YAMAO3, Mitsuhiro AOKI4, Hidekimi FUKUI5

1JFE健康保険組合 川鉄千葉病院麻酔科, 2倉敷中央病院麻酔科, 3聖路加国際病院呼吸器内科, 4聖路加国際病院救急部, 5東京医科大学麻酔科学教室

1Department of Anesthesia, Kawatetsu Chiba Hospital, 2Department of Anesthesia, Kurashiki Central Hospital, 3Department of respiratory medicine, St.Luke’s International Hospital, 4Department of emergency medicine, St.Luke’s International Hospital, 5Department of Anesthesiology, Tokyo Medical University

キーワード :

【目的】
超音波ガイド下中心静脈穿刺の長軸アプローチは,超音波で静脈の長軸像を描出して穿刺を行う方法である.針を皮下刺入後,静脈の穿刺までリアルタイムに針を追うことができる理想的な方法である.しかし,長軸アプローチは容易ではない.なぜなら以下の問題が内在しているからである.①静脈が直線走行していないと長軸像が得られないばかりか,長軸アプローチも行えない.②得られた長軸像が静脈の中心を通っていないと失敗する可能性がある.短軸像で静脈を確認し,プローブを90度回転することで長軸像を得るが,最初の短軸像が静脈の斜め切りの短軸像である場合,90度回転して得られる長軸像も静脈の中心を通る真の長軸ではない.静脈の側壁に向かう長軸像を真の長軸と見誤ると,最終的に針先が血管外に逸脱し誤穿刺を引き起こす可能性がある.③針の操作が難しい.超音波走査線の薄い平面を外れることなく針を進めるには高度な技術を必要とする.さらに,針が走査線外に出た際にサイドローブ・アーチファクトが生じると,針先の逸脱の判断が難しい.これらの問題を以下のように解決した.①静脈の直線走行している部分で穿刺を行う.また,鎖骨尾側腋窩静脈では,上肢の外転により静脈を直線化させる.②静脈の中心を通る長軸像を検出する.我々は,静脈の中心を通る長軸像を得るための新しいスキャン方法を考案した.このスキャンは,プローブの一端を固定し側方に振って静脈側壁を確認し,両側壁から一番遠いところを静脈の近似中心とする考え方を基本概念としている.③技術の必要なく,針を走査線内から逸脱しないようにするには,ニードルガイドが必要である.我々は,新たにニードルガイドを作成した.考案した手技をシミュレータを用いて検討した.
【対象】
ボランティア5人
【方法】
中心静脈穿刺の経験の無いボランティアに対し,長軸アプローチで鎖骨下静脈穿刺(人型シミュレータ,京都科学社)を①フリーハンドによる穿刺,②ニードルガイドを用いて穿刺,③スキャン方法を口頭で説明し,ニードルガイドを使用して穿刺,の3通りで試みさせた.穿刺成功率は,模擬血管中の水を吸引できたかどうかで判定した.
【結果】
穿刺成功率は,①フリーハンド:1/5人,②ニードルガイド:3/5人,③スキャン+ニードルガイド:5/5人であった.考案した手技による長軸アプローチが最も成功率が高かった.
【結論】
新たに考案した長軸アプローチは,容易に習得でき,中心静脈穿刺の安全性に寄与する可能性がある.今後更なる検討を行い臨床応用につなげたい.