Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
血管:静脈

(S370)

下肢血管エコー検査における深部静脈血栓とD-dimer値

Diagnosis of deep vein thrombosis by ultrasound combined with D-dimer assay

玉井 利奈1, 西尾 進2, 山田 博胤1, 遠藤 桂輔2, 栗坂 彩美2, 三木 淳子2, 楠瀬 賢也1, 林 修司1, 冨田 紀子1, 佐田 政隆1

Rina TAMAI1, Susumu NISIO2, Hirotsugu YAMADA1, Keisuke ENDO2, Ayami KURISAKA2, Junko MIKI2, Kenya KUSUNOSE1, Shuji HAYASHI1, Noriko TOMITA1, Masataka SATA1

1徳島大学病院循環器内科, 2徳島大学病院超音波センター

1Cardiovascular Medicine, Tokushima University Hospital, 2Ultrasound Examination Center, Tokushima University Hospital

キーワード :

【背景】
深部静脈血栓症(DVT)の一次スクリーニングとしてD-dimerを測定し,高値であった場合に下肢静脈エコー検査を施行する施設が多い.我々はその現状とDダイマー高値を下肢静脈エコー検査の依頼理由とすることの妥当性について検討した.
【方法】
2008年4月から2010年3月までに下肢静脈エコー検査を施行した536例(男性176例,女性360例)を対象とし,検査依頼科および依頼理由,D-dimer値,DVTの有無,血栓の性状を調査した.
【結果】
依頼科は整形外科,循環器内科,心臓血管外科,依頼理由は術前スクリーニング,下肢浮腫,D-dimer高値の順に多かった. 97例にDVTを認めた.DVT(-)群と比べてDVT(+)群のD-dimerは有意に高値であった(11.7±18.0 vs. 4.4±8.2 μg/ml, p<0.0001). DVTの診断に対するROC解析では,D-dimer >1.0μg/ml(当院基準値)で感度86%,特異度33%,D-dimer >5.0μg/mlで感度53%,特異度80%であった.DVT(+)群において,新鮮血栓例のD-dimerは器質化血栓例と比べて有意に高値であった(42.6±28.3 vs 6.2±6.9μg/ml, p<0.001).
【結語】
当院基準値を用いたD-dimer高値によるDVTの予測は,特異度が低く,これのみで下肢静脈エコー検査を依頼することには疑問が残り,DVTの診断におけるD-dimerの基準値を再考する必要があると思われた.新鮮血栓例のD-dimerは器質化血栓例に比べ有意に高値であり,新鮮血栓を検出する目的には有用である可能性がある.