Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
血管:静脈

(S370)

肘部静脈視認,触知不能例に対する,エコーガイド下PICC挿入法の有用性

Usefullness of US guided PICC

尾辻 健太郎, 小澤 範高, 杉山 智彦, 小木曽 英介, 華井 頼子, 山崎 健路, 勝村 直樹

Kentarou OTSUJI, Noritaka OZAWA, Tomohiko SUGIYMA, Eisuke OGISO, Yoriko HANAI, Kenji YAMAZAKI, Naoki KATUMURA

JA岐阜厚生連中濃厚生病院内科

Internal Medicine, Tyuno Kosei Hospital

キーワード :

【目的】
末梢挿入中心静脈カテーテル(peripherally inserted central catheter:PICC)は肘部の静脈より上大静脈まで挿入する中心静脈カテーテルであり,欧米では挿入時の気胸,血胸のリスクがない事等より一般的に用いられているが,本邦ではあまり普及していない.普及が進まない最大の理由は材料費に見合う手技料が設定されていない事と思われるが,肘部に留置した場合,肘の屈曲等で流量の低下が発生する事も一因である.また,肘部静脈が駆血後も,視認,触知不能である場合,通常の方法での挿入そのものが不可能となる.血管穿刺用エコーを用い,上腕部に留置する方法も報告されてはいるが,血管穿刺用エコーの価格も汎用のポータブルエコーとほぼ同額であり,購入は容易ではない.今回,肘部の静脈が視認,触知不能である症例に対し,汎用超音波検査機器を用い上腕部にPICCの挿入を試み,その有用性を考察した.
【対象】
2009年5月~2010年12月の期間中,当科にてPICCを挿入した症例のうち,肘部の静脈が視認,触知不能であった13例.男性10例,女性3例.平均年齢75±8歳(65〜88歳)
【使用機器】
ALOKA社製 prosoud α10,GE社製 LOGIQe
【方法】
左上腕をやや外転,外旋し駆血.肘部より4〜5横指中枢即をエコープローブにてスキャン.上腕動脈に接して描出される上腕静脈及び尺側寄りに描出される尺側皮静脈を同定,穿刺可能ないずれかの静脈に対しエコーガイド下にフリーハンド法にてPICCを挿入した.
【結果】
13例全例において上腕静脈,尺側皮静脈のいずれも描出が可能であったが,3例において尺側皮静脈へのカテーテル挿入が不能であり上腕静脈に留置を行った.また,1例において左上腕部より中枢側へのカテーテル挿入が困難であり,右上腕への留置を行った.
【考察】
肘部の静脈が視認,触知不能であり,汎用超音波機器を用いたエコーガイド下穿刺により上腕部への留置を試みた全例において,PICC挿入が可能であった.血管穿刺用ではないためアタッチメントがなく,フリーハンドの穿刺になるため若干の習熟が必要ではあるが難易度は高くなく,十分に有用な方法であると思われた.