Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
循環器:先天性心疾患

(S360)

大動脈ステントグラフトにより閉鎖し得た高齢者動脈管開存症の一例

Trans aortic stent graft implantation for an elderly woman with patent ductus arteriosus: a case report

寺田 菜穂1, 原田 顕治1, 山本 隆1, 藤永 裕之1, 藤本 鋭貴2, 筑後 文雄2, 田中 佑樹3, 一宮 千代3, 小坂 悦子3

Naho TERADA1, Kenji HARADA1, Takashi YAMAMOTO1, Hiroyuki FUJINAGA1, Eiki FUJIMOTO2, Fumio CHIKUGO2, Yuuki TANAKA3, Chiyo ICHIMIYA3, Etsuko KOSAKA3

1徳島県立中央病院循環器内科, 2徳島県立中央病院心臓血管外科, 3徳島県立中央病院検査技術科

1Department of Cardiology, Tokushima prefectural central hospital, 2Department of Cardiovascular surgery, Tokushima prefectural central hospital, 3Department of Clinical laboratory, Tokushima prefectural central hospital

キーワード :

高齢者動脈管開存症(PDA)の稀な症例を経験し,大動脈ステントグラフト内挿術が奏効した一例を報告する.症例は66歳女性.高血圧にて近医受診中であった.以前から心雑音を指摘されるも精査は拒否していた.2006年6月頃より軽度の労作時呼吸困難が出現し,2007年10月下旬に当科外来を紹介受診された.聴診にて胸骨左縁第二肋間でLevineⅢ/Ⅵの連続性雑音を聴取した.心臓超音波検査にて大動脈(Ao)弓下面から拡張した主肺動脈(PA)分岐部付近に交通する径8mm程度の管状構造物が確認され,連続波ドプラ法にてAo→PAへ一方向性の連続性短絡血流を認めた.また,後日施行した心臓CTにて一部石灰化を伴う動脈管を認めPDAと診断した.2008年2月下旬に心臓カテーテル検査を施行した.左右冠動脈に有意狭窄はなく,心内圧測定では主肺動脈は38/24mmHgと肺高血圧を認めた.血液ガスサンプリングによる酸素飽和度は,右室と肺動脈の間にO2 step upを認め,Qp/Qs=1.8と高値であった.しかし外科的治療は望まれず.外来にて経過観察としていたが,労作時呼吸困難が徐々に増悪してきた.2009年11月中旬の心臓カテーテル検査では,Qp/Qs=2.17と増悪していた.2010年1月初旬に大動脈ステントグラフト内挿術を施行した.術後の心臓超音波検査では短絡血流は完全に消失していた.心臓カテーテル検査でもQp/Qs=1.0と改善を認めた.症状も軽快し経過は良好である.PDAの外科的治療としてAmplatzer Duct Occuluderによるカテーテル治療が日本でも普及しつつあるが,現時点では使用可能施設が限られている.本症例では,大動脈ステントグラフト内挿術を選択し良好な経過が得られたので報告する.