Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
循環器:先天性心疾患

(S359)

Jatene手術前の冠動脈診断-心エコー診断の精度および役割についての検討-

Diagnosis of coronary arteries prior to the arterial switch operation-Accuracy of echocardiographic diagnosis-

三井 さやか, 芳本 潤, 金 成海, 満下 紀恵, 新居 正基, 田中 靖彦, 小野 安生

Sayaka MII, Jun YOSHIMOTO, Sung-hae KIM, Norie MITSUSHITA, Masaki NII, Yasuhiko TANAKA, Yasuo ONO

静岡県立こども病院循環器科

Cardiology, Shizuoka Children’s Hospital

キーワード :

【背景】
静岡県立こども病院では1998年1月から2010年12月の間に68件のJatene手術を施行している.術前の冠動脈診断には,2004年12月までは全例に心臓カテーテル検査を施行していたが,2005年1月以降は基本的に心エコーのみで診断している.
【目的】
術前の冠動脈診断に関し,エコー単独と,エコーにカテーテル検査を併用した場合とで差が見られるか検討すること.
【方法】
診療録,エコー・カテーテル所見,手術記事等から術前と術後の冠動脈診断を比較し後方視的に検討した.
【結果】
疾患の内訳はTGA1型38例(56%),TGA2型16例(24%),DORV(TBA)12例(18%),TGA3型1例,cTGA1例である.術前にカテーテルを施行したのは36例でそのうち2004年以前が32例であるが,エコーのみで診断したのは32例で全例2005年以降である.術前と術中の冠動脈診断が異なる症例が,カテーテルを施行した群では3例(8%),エコーのみの群では2例(6%)の計5例みられたが両群間で有意差は認められなかった(p=0.56).術中に璧内走行が判明した1例ではMee法を施行したがそれ以外は術式の変更はなかった.平均フォローアップ期間はエコーで57.7カ月,カテーテルでは44.0カ月で,冠動脈のイベントが見られたのは1例のみであった.
【考察】
エコーとカテーテルの間に有意差は認められなかった.しかし,エコーとカテーテルの所見が異なるものが6例あり,そのうち術後診断はカテーテル所見と一致したものが5例みられた.また2005年以降もエコー診断が不確定な症例ではカテーテルを併用している場合もあった.
【結論】
術前の冠動脈診断において,エコーおよびカテーテル検査で診断の精度に有意差は認められなかった.丹念なエコーにより,全例への術前カテーテル検査は回避できる可能性がある.