Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
循環器:心筋ストレイン3 不整脈・心不全など

(S352)

右室心筋の駆出後収縮運動について:スペックルトラッキング法による検討

Postsystolic Shortening in the Right Ventricle:Assessment of Influencing Factors Using 2D Speckle Tracking

小倉 文子1, 田中 恵美子1, 竹内 淑恵1, 伊藤 隆英2, 川西 泰徳2, 石坂 信和2

Fumiko OGURA1, Emiko TANAKA1, Yoshie TAKEUCHI1, Takahide ITOU2, Yasunori KAWANISHI2, Nobukazu ISHIZAKA2

1大阪医科大学中央検査部, 2大阪医科大学内科学Ⅲ

1Clinical Laboratory, Osaka Medical College, 2Third Department Of Internal Medicen, Osaka Medical College

キーワード :

【目的】
駆出後収縮(postsystolic shortening:PSS)は,駆出期以降もなお心筋の収縮が持続する現象である.PSSが生じる機序の一つとして,大動脈弁閉鎖後の急激な左室圧の低下が挙げられている.一方,右室は低圧系ゆえ左室ほどの圧低下が期待できず,よほどの肺高血圧がなければPSSが出現しないのではないかと推察される.今回の研究では右室心筋にスペックルトラッキング法を適用し,様々な心疾患における右室心筋のPSSを評価,PSSの発現頻度ならびに規定因子などについて検討した.
【方法】
対象は健常者15名(54±18歳),様々な心疾患患者43名(65±13歳).左室4腔像から探触子をシフトさせて右室を十分に描出し,トラッキングのための関心領域を設定した.関心領域からは右室自由壁および心室中隔右室側におけるグローバルストレイン曲線および6区画の局所ストレイン曲線が得られる(図).今回の評価項目であるが,健常者および心疾患患者において,①グローバルストレイン曲線がPSSを伴っているか否か,②PSSを伴う局所ストレイン曲線は幾つあるか,③心疾患患者において,これらの所見は右室圧の程度や右室収縮能(グローバルストレインで代用)と関連しているのか,以上について検討した.
【結果】
①グローバルストレイン曲線がPSSを伴っていた頻度は健常者0%(0人),心疾患患者23%(10人)であった.②PSSを伴う局所ストレイン曲線は健常者0±1つ,心疾患患者2±2つであった.③PSSを有する患者は有しない患者に比べ推定右室収縮期血圧は高値を示し(60±13 mmHg vs. 31±8mmHg,p<0.001),右室収縮能は低値を示した(14.1±5.0% vs. 20.6±4.1%, p<0.001).
【結論】
健常者の右室ではPSSはみられない.心疾患患者においては,著明な肺高血圧の存在下において,PSSが合併しやすい.さらに,PSSの出現は右室収縮能低下のサインとなりうる.