富田 純子¹, 氏原 好恵², 佐藤 千佳子², 畠山 裕志², 小野 彰範¹, 新谷 憲治¹

Junko TOMITA¹, Yoshie UJIHARA², Chikako SATO², Hiroshi HATAKEYAMA², Akinori ONO¹, Kenji NIIYA¹

¹笠岡市立市民病院内科, ²笠岡市立市民病院生理検査室

¹Department of Internal Medicine, Kasaoka City Hospital, ²Department of Physical Laboratory, Kasaoka City Hospital

キーワード :

【目的】
胸水穿刺による胸水の減少が心筋に与える影響を検討すること．
【対象】
胸水穿刺を施行した患者数20人（平均年齢79.2±8.8，男性12人）．原疾患（心不全10人，悪性疾患7人，肝硬変1人，低アルブミン血症1人，結核1人）．
【方法】
胸水穿刺施行前後に経胸壁心エコーをおこなった．通常の心エコー指標に加えて，2-D speckle tracking echocardiography により心筋ストレインを計測した．超音波使用機種はGE製vivid7でEcho-Packによりoff-lineで解析を行った．
【結果】
穿刺前後でStroke volume，E波，e’，E/e’は有意差なかった．Ejection fraction, E/Aは穿刺後わずかだが有意差を持って増加した．Collapsibility indexは著明に増加した（0.38±0.19 to 0.49±0.19, p=0.0002）．心筋ストレインは，longitudinal，circumferential方向のストレインは変化を認めなかったが，radial方向の心筋ストレインは胸水穿刺後に増加した（32.9±16.8 to 41.7±19.4, p=0.0004））．また，torsion，Vpも有意に増加した．
【結論】
胸水は心臓の近くの狭い空間に貯留することで心機能を障害している可能性あると考えられる．胸水穿刺で胸水を減少させることは，障害された心機能を改善するために有効と考えられた．