Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
循環器:心筋ストレイン1 虚血・心筋症

(S348)

ジピリダモール負荷エコーにおけるAutomated Function Imageを用いた心筋虚血の検出

Detection of myocardial ischemia using automated function image on dipyridamole stress echocardiography

吉岡 和哉1, 関家 季実子1, 上田 政一1, 岩倉 克臣2

Kazuya YOSHIOKA1, Kimiko SEKIYA1, Masakazu UEDA1, Katuomi IWAKURA2

1特定医療法人 渡辺医学会 桜橋渡辺病院検査科, 2特定医療法人 渡辺医学会 桜橋渡辺病院心臓血管センター 循環器内科

1Laboratory, Sakurabashi Watanabe Hospital, 2Cardiovascular Center, Sakurabashi Watanabe Hospital

キーワード :

【目的】
負荷エコー法は心筋シンチと同等の精度で心筋虚血を診断することが出来るが,主観的な壁運動評価を基準とする問題点がある.そのため壁運動の客観的評価手法を負荷エコーに応用することが期待されている.Automated Function Imageは2D speckle tracking法により左室全体の各領域におけるlongitudinal peak strainを半自動的に求める方法であり,その結果をbull’s eye map表示することで直感的に表現出来る.さらにpostsystolic shorteningをpostsystolic shortening index (PSI)として領域ごとに評価し表現出来る方法である.ジピリダモール負荷は心拍数増加が他の負荷法に比して小さいため,負荷時のframe rateの低下を小さく出来ることから2D speckle trackingに適した評価法であると考えられる.我々はジピリダモール負荷エコーでの心筋虚血診断へのAFIの応用の可能性について検討した.
【対象と方法】
狭心症・無症候性心筋虚血の疑われる連続12例に対してVivid S6(GE Healthcare)を用いてジピリダモール負荷エコーを実施した.ジピリダモール負荷は高用量(0.14 mg/kg/min×6分間)で行い,負荷終了後10分目に心尖長軸像・四腔像・二腔像および傍胸骨短軸像を記録.壁運動の変化を評価するとともにEchoPAC PCを用いてAFI解析を行い,左室17領域のlongitudinal peak systolic strain(PSS)およびPSI={(全周期でのpeak strain)-(収縮末期のpeak strain)}/ (全周期でのpeak strain)×100(%)を求めた.PSSは>-10%,PSIは15~30%を異常とした.冠動脈造影において有意狭窄の有無を検討し,狭窄枝の支配領域を虚血領域としてPSS,PSIについて検討した.
【結果 と考察】
12症例中11症例においてAFIによる解析が可能であり,冠動脈造影で13枝に有意狭窄を認めた.ジピリダモール負荷により心拍数は有意に上昇した (68±14bpm to 78±17bpm, p=0.03)が,その上昇は軽度であった.虚血領域13領域の内,4領域でPSSの低下を認めた.また非虚血領域20領域中12領域でもPSS低下を認め,PSS低下の出現には虚血領域と非虚血領域の間に有意差を認めなかった (p=0.20).PSIの異常は虚血領域の内12領域,非虚血領域の6領域で認められ,虚血領域で有意に高率であった (p=0.002).負荷時PSIを指標とすると心筋虚血を感度92.3%,特異度70.0%で検出することが可能であった.
【結論】
AFIはpostsystolic shorteningの出現を指標とすることにおいて,ジピリダモール負荷における心筋虚血領域を良好な精度で検出することが可能であった.PSSを指標とした場合は心筋虚血の検出は困難であった.他の負荷法に比べて,ジピリダモール負荷による虚血では局所収縮性の低下に加え,収縮時相の異常も関与していることが示唆された.