Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
循環器:弁膜症

(S337)

大動脈弁狭窄症は脳・心・腎血管疾患に相関する

The aortic stenosis correlates to the brain, the mind, and the renal vessel disease.

福岡 裕人, 茅野 博行, 松井 大樹, 土至田 勉, 小林 洋一

Hiroto FUKUOKA, Hiroyuki KAYANO, Taiju MATSUI, Tsutomu TOSHIDA, Youichi KOBAYASHI

昭和大学病院循環器内科

Department of Medicine Division of Cardiology, Showa University school of Medicine

キーワード :

【目的】
日本では大動脈弁狭窄症に動脈硬化性血管イベントが関係しているのか検討し報告する.
【背景】
最近大動脈弁狭窄症の患者は増えている.日本では大動脈弁狭窄症に動脈硬化性血管イベントが関係しているかどうかは不確かである.
【方法】
状態の落ち着いている当院で心エコーを施行された大動脈弁狭窄症のある連続551症例(男性222人,女性329人,年齢79±11歳)について研究した.大動脈弁狭窄症は経胸壁心エコーでトレース法にて大動脈弁弁口面積が2㎝2以下のものとした.血管イベントリスクは陳旧性心筋梗塞あるいは狭心症,陳旧性の脳梗塞あるいは脳出血,そして血液透析の3つについて解析を行った.大動脈弁狭窄症の男性222人を次のように分類した.noリスク群(87人,リスクイベント0個),lowリスク群(88人,リスクベント1個),highリスク群(47人,リスクイベント2〜3個).3群間で弁口面積,平均年齢について比較検討をした.同様の方法で女性についてもそれぞれ比較検討した.
【結果】
男性において大動脈弁弁口面積はnoリスク群(1.38±0.3)とlowリスク群(1.41±0.33)に比べ,highリスク群(1.29±0.11)で明らかに低下していることが言えた(それぞれp<0.05, p<0.05であった).しかし,noリスク群とlowリスク群の間には明らかな違いは見られなかった.平均年齢においては3群間で差はなかった(noリスク群,lowリスク群,highリスク群でそれぞれ77.3±11.1歳,77.7±10.0歳,74.8±10.0).女性に関しても同様の傾向があると示された.
【結論】
日本において動脈硬化性血管イベントの有無は大動脈弁狭窄症と密接に関係していることがいえる.