Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
基礎:組織性状

(S329)

びまん性肝疾患診断のためのB-Flow血流抽出処理

B-Flow blood flow extraction for diffuse liver disease diagnosis

山田 晃1, 地挽 隆夫2, 小笠原 正文2, 小川 眞広3

Akira YAMADA1, Takao JIBIKI2, Masafumi OGASAWARA2, Masahiro OGAWA3

1東京農工大学大学院生物システム応用科学府, 2GEヘルスケア・ジャパン超音波事業部, 3日本大学医学部消化器肝臓内科

1Grad Sch Bioapplicat and Systems Engineering, Tokyo University of Agriculture & Technology, 2Ultrasound Business Division, GE Healthcare Japan, 3School of Medicine Division of Gastroenterology and Hepatology, Nihon University

キーワード :

【はじめに】
B-Flow映像法は,ミリオーダの高解像な肝辺縁微小血流を描出することを可能にした.著者らはこれまでB-Flow血流映像に基づいた,びまん性肝疾患のコンピュータ支援診断の実現に向けた研究を進めてきた1).本報告では,ノイズの影響を回避しながら,病変に特徴的な血流走行特性を従来よりも効果的に取り出すことのできる抽出処理法について検討した.
【対象】
肝表面から深さ方向に約5 cm,横方向に約4 cmの肝辺縁領域を対象に,肝硬変,慢性肝炎,健常の各々のB-Flow肝血流映像データを多数用意した.使用機種はGE LOGIQ7,プローブの送受信周波数は4MHzである.フレームレート7 fr/sの条件下で15 s程度の間,拍動ノイズの影響を避けるためにゆっくりと走査しながら,全体で3,4種類の血流シーンを撮影している.
【血流抽出処理】
ノイズを抑圧しながら本来の血流領域を強調するための処理として,B-Flow原画像の連続する13フレームについて,しきい値&ピークホールド処理を施す.以前の報告1)では,そのピークホールド画像の二値化結果をもとに,血流走行特性を算出していた.しかし,その二値化画像の血流境界は,ノイズの影響を大きく受けてしまう問題があった.このため,ここではピークホールド画像勾配の極大軌跡から血流の稜線を取り出す方法を提案する.こうして求めた稜線はノイズや二値化しきい値の影響を受け難いため,より正確な血流走行特性を取り出すことができる.
【結果および考察】
肝硬変と健常の各々の被験者に対して行った,本提案法によるB-flow血流抽出処理画像の例をFig.1およびFig.2に示す.処理前の原画像は,ノイズが多く含まれていることに加えてフレームごとに血流が途切れるため,微小血流の識別は極めて困難であった.これに対して,Fig.1,Fig.2の抽出処理結果は,微小血流の細部を含めて稜線が明瞭に検出されている.また,肝硬変血流の屈曲蛇行走行の特徴が良く現れている.現在,本提案の抽出処理法に基づいた,肝硬変診断プログラムの作成とその評価試験を進めている.
【文献】
1)山田,地挽,小笠原,小川,Jpn. J. Med. Ultrasonics, Vol.37 Supplement, 83-WS-C40, pp.282, April(2010).