Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
基礎:イメージング2

(S324)

医用超音波イメージングにおける微細ワイヤーを用いた微小石灰化モデル

Minute calcification model for ultrasonography using thin wires

瀧 宏文1, 阪本 卓也1, 山川 誠2, 椎名 毅3, 佐藤 亨1

Hirofumi TAKI1, Takuya SAKAMOTO1, Makoto YAMAKAWA2, Tsuyoshi SHIINA3, Toru SATO1

1京都大学大学院情報学研究科通信情報システム専攻, 2京都大学京都大学先端医工学研究ユニット, 3京都大学大学院医学研究科

1Graduate School of Informatics, Kyoto University, 2Advanced Biomedical Engineering Research Unit, Kyoto University, 3Graduate School of Medicine, Kyoto University

キーワード :

【はじめに】
乳がん検診や心臓弁の画像化など微小石灰化の検出は臨床診断上重要であるため,医用超音波検査における石灰化検出能の改善が強く望まれている.我々は石灰化の存在によるエコーの波形変化を用いた微小石灰化検出法を提案してきたが,提案法の石灰検出能評価に直径0.1mm程度の微細銅ワイヤーを用いてきた.実際の微小石灰化は塊状であるため,医用超音波イメージングに対するワイヤー目標の等価的な大きさを塊状目標に一致させる必要がある.本研究では医用超音波診断装置を用いた場合のワイヤー目標と塊状目標の後方散乱断面積を比較し,ワイヤー目標の等価的な大きさを塊状目標に適合させる方法を検討する.
【実験方法と結果】
直径0.2 mm,0.1 mm,0.05 mm,0.03 mmの銅ワイヤーと大きさ0.2 mm,0.1 mmの銅円筒を寒天ゲル内の深さ2 cmに包埋し,B-mode像におけるエコー強度の最大値を用いて後方散乱断面積を比較した.ただし,銅円筒は直径と高さを等しくしている.本研究では中心周波数が7.5 MHz,走査線間隔が約0.13 mmであるリニアアレイプローブを使用した.ワイヤー目標からのエコーは鏡面反射成分が大きく,エコー強度は測定面とワイヤーのなす角に大きく依存していると考えられる.そのため,我々は測定面の角度を変化させワイヤーの後方散乱断面積を調べた.また,塊状目標を測定する場合測定面内に目標が存在している必要がある.よって,我々は測定面をスキャンしエコー強度の最大値を探索した.図1は銅ワイヤーと銅円筒の後方散乱断面積を示している.測定面とワイヤーのなす角が90度のときはワイヤーの後方散乱断面積は円筒よりも10倍程度大きい.一方,測定面の角度を87度以下にするとワイヤーの後方散乱断面積は円筒よりも小さくなる.測定面の角度が87.6度,87.0度の場合,直径0.1 mmの銅ワイヤーの後方散乱断面積は大きさ0.2 mm,0.1 mmの銅円筒と同等となることがわかった.
【結論】
ワイヤー目標と測定面のなす角を調整することにより,微細ワイヤーを用いた微小石灰化モデルを作成可能である.直径0.1 mmのワイヤー目標を用いる場合,測定面の角度を87.6度,87.0度に設定することにより,大きさ0.2 mm,0.1 mmの微小石灰化と同等の後方散乱断面積に調整することができる.