Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
基礎:イメージング2

(S323)

SEABED 法を用いた少数素子超音波アレイによる胎児イメージング

Imaging of embryo using ultrasound element sparse array with SEABED method

阪本 卓也, 瀧 宏文, 佐藤 亨

Takuya SAKAMOTO, Hirofumi TAKI, Toru SATO

京都大学情報学研究科 通信情報システム専攻

Graduate School of Informatics, Kyoto University

キーワード :

【はじめに】
超音波イメージングによる胎児の発達観察は注目される技術分野である.高分解能イメージング法SEABED の一種であるEnvelope 法を用いた円筒目標の画像化性能が報告されている[1].本研究では実際の胎児の形状に近い模型を用いた実験によりSEABED 法のイメージング性能を評価する.
【提案法】
各素子は送信および受信に用いられ,128 素子(あるいは32 素子)のうち任意の2 素子を選び送受信を行う.まず,受信波形の遅延時間を抽出する.次に送信素子番号iおよび受信素子番号j の両位置を焦点とし,長軸径が反射波の遅延時間に対応する楕円Ei,j,送受信位置をそれぞれ1 ステップ変えた楕円Ei+1,j およびEi,j+1 の3 楕円の交点を求める.この処理をすべての(i, j)の組み合わせに対して行い,被測定対象の2 次元画像を得る.
【測定条件および結果】
凹面形状の超音波128 素子アレイを用いた測定システムを用いた実験を行う.送信波は中心周波数2.0MHz のダブルサイクルパルスとする.縦10.0mm,横0.5 mm のPZT 素子を0.6 mm ピッチで半径50.0 mm の円上に配置する.目標は22 週目の胎児の形状を有する音響インピーダンス3.27 のPVC (Poly-Vinyl Chloride) 製の模型を用いる.超音波128 素子から等間隔に素子を間引いた(32x32=) 1,024 個の信号の双方に対し,従来のマイグレーション法およびSEABED 法によるイメージングを行う.Fig.1 にマイグレーション法およびSEABED 法による画像を示す.ここでは側頭部の水平断面像に相当し,(x, y)=(1.8 cm, 1.8 cm)付近が耳の突起部分に相当する.同図よりSEABED 法を用いることで少数の素子により生じる虚像を抑圧できることがわかる.
【結論】
胎児の模型を用いた実験によりSEABED 法の方がマイグレーション法よりも明瞭な像を得ることが確認された.このことによりSEABED 法を導入することで胎児の発達のモニタリングがより簡易かつ安価なシステムで実現できることが期待される.
【参考文献】
[1]阪本卓也,瀧 宏文,佐藤 亨,電子情報通信学会技術報告,vol. 110, no. 338,US2010-86, pp. 7-12, Dec. 2010.