Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
基礎:安全性とプローブ

(S320)

ソニック結晶構造音響レンズの収束音場の測定

Measurement of convergence sound field by sonic crystal Lens

土屋 健伸1, 新川 竜大1, 佐久間 優1, 田中 伸1, 遠藤 信行1, 松本 さゆり2, 森 和義3

Takenobu TSUCHIYA1, Ryuta NIIKAWA1, Suguru SAKUMA1, Shin TANAKA1, Nobuyuki ENDOH1, Sayuri MATSUMOTO2, Kazuyoshi MORI3

1神奈川大学工学部電子情報フロンティア学科, 2港湾空港技研施設・施工部, 3防衛大学校地球海洋学科

1Department of Electronics and Informatics Frontiers, Faculty of Engineering, Kanagawa university, 2Construction and Control Systems Department, The Port and Airport Research Institute, 3Department of Earth and Ocean Sciences, National Defense Academy of Japan

キーワード :

【目的】
 我々は微小超音波プローブに用いることを想定した小型で高性能な音響レンズの開発を行うための試作段階として縮尺変更実験を行い,波動理論に基づく解析法と比較した結果を報告した.一方,光波・電磁波の分野では同形状の構造体を周期的に配置することでフォトニック結晶を構成できることが知られている.音響文野においても,フォトニック結晶構造とほぼ同等な現象が周期構造物によってもたらされる.その構造を利用するとレンズの形状の自由度が増す,例えば平面の音響レンズが作成可能となる.本報告ではソニック結晶構造を用いて平面音響レンズを構成した.作成した試作器の収束特性を測定した結果を報告する.
【方法】
 ソニック結晶構造の音響レンズの試作モデルを製作した.その試作モデルによって音波が想定通り収差され,レンズとして作用しているかを確認する.ソニック結晶レンズの収束音場測定のための音源,遮音板,音響レンズの配置図をFig. 1に示す.音源側の面に吸音材を貼り付けた厚さ3mmの真鍮板を音響レンズ前面から5 mmの位置に配置した.音源は吸音材の前面から40 mmの位置に配置している.遮音板のスリットの直径は2, 3, 5 mmの3種類を用いた.音場の測定は,直径0.2mmのニードルハイドロフォン(ONDA社製HNP-0200)を3次元スキャン可能な3軸音響強度測定装置(NTR社製AIMS)に取り付けて0.5mm間隔で測定を行った.
【結果】
 レンズ中心軸の伝搬方向z軸の音圧分布をFig. 2に示す.Fig. 2は焦点位置での音圧値で規格化している.どのスリットサイズでも音圧分布はほぼ変わらなかった.Fig. 2から焦点距離は音源から18.5 mmである.焦点位置での方位方向x軸の音圧分布は,どのスリットサイズでも-3dBのビーム幅は2.5 mmであった.わずかにサイドローブが観測されたが, 既にノイズレベルに近くなっているため,更に精度よい観測を行わなければ確認できないと考える.
【結論】
 本報告ではソニック結晶構造を利用した音響レンズを設計し,そのモデル実験を実施して音場を測定した.音響レンズは設計通りにレンズ作用を及ぼしていることが確認され,焦点位置とビーム幅の測定データを得た.今後は数値解析による音響レンズの音場解析と今回の実測結果を比較し,よりレンズ特性の詳細を確認する予定である.