Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
基礎:気泡

(S308)

Sonazoidを基盤としたインテグリンαvβ3標的気泡作成法の開発

Development of integrin αvβ3-targeted bubbles based on Sonazoid

大谷 健太郎1, 池田 智明1, 2

Kentaro OTANI1, Tomoaki IKEDA1, 2

1国立循環器病研究センター研究所再生医療部, 2国立循環器病研究センター周産期・婦人科部

1Department of Regenerative Medicine and Tissue Engineering, National Cerebral and Cardiovascular Center Research Institute, 2Department of Perinatology and Gynecology, National Cerebral and Cardiovascular Center

キーワード :

【背景と目的】
超音波分子イメージングを用いて生体内の分子動態を観察することが可能となった.しかし,臨床応用可能な分子標的気泡は皆無である.先般,我々は本邦で臨床使用可能なSonazoidを基盤とした分子標的気泡作成の可能性を見出したが,免疫原性を有する分子を使用しているため,速やかな臨床応用は現状では難しい.本研究では,生体内でマクロファージ上のインテグリンαvβ3とアポトーシス細胞の細胞膜上のホスファチジルセリン(PS)とを結びつける分子であるMFG-E8を用い,1)MEG-F8がPSを含有するSonazoidと結合するか否か,2)その結合の安定性,及び3)MFG-E8がインテグリンαvβ3発現細胞(HUVEC)と結合するか否かについて検討した.
【方法と結果】
Sonazoid(第一三共)とPhycoerythrin(PE)標識MFG-E8を混合した後,気泡からのPE信号をフローサイトメトリー(FACS)により評価した.激しい攪拌の後に再度FACS解析を行い,攪拌前の蛍光強度との比較を行った.最後に,HUVECとPE標識MFG-E8を反応させ,細胞からのPE信号をFACSにより評価した.気泡からの蛍光強度はMFG-E8の添加量に依存して上昇した(0μg: 3.1±0.1 vs. 0.1μg: 10.4±1.1 vs. 1μg: 60.1±7.3 vs. 5μg: 159.9±10.1)(図A).激しい攪拌による蛍光強度の低下は認められなかった (攪拌前: 159.9±10.1 vs. 攪拌後: 152.7±8.1 ).また,MFG-E8との混合後においても気泡の粒度分布に変化は認められなかった(図B).PE色素とのみ反応させた群に比し,PE標識MFG-E8と反応させることでHUVECからの蛍光強度は有意に上昇した(色素群: 14.6±0.1 vs. MFG-E8群: 137.2±2.5).
【結語】
インテグリンαvβ3発現細胞と気泡-MFG-E8複合体のin vitro接着実験や動物実験による診断有用性についての更なる検討が必要だが,Sonazoid-MFG-E8複合体が血管新生において重要な分子であるインテグリンαvβ3に対する標的気泡となり得る可能性が示唆された.