Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
基礎:気泡と造影

(S307)

送受独立型リニアプローブによるIn-vivo造影実験

In vivo contrast imaging with a transmitter-receiver separated probe

今野 剛人1, 帖地 健2, 俵藤 正信2, 藤原 圭祐4, 射谷 和徳4, 松永 宏明3, 谷口 信行3, 安田 是和2

Taketo KONNO1, Ken CHOCHI2, Masanobu HYODO2, Keisuke FUJIWARA4, Kazunori ITANI4, Hiroaki MATSUNAGA3, Nobuyuki TANIGUCHI3, Yoshikazu YASUDA2

1アロカ株式会社メディカルシステム技術部, 2自治医科大学消化器・一般外科, 3自治医科大学臨床検査医学, 4アロカ株式会社研究所

1Medical System Engineering Department, ALOKA CO., LTD., 2Department of Surgery, Jichi Medical University, 3Department of Clinical Laboratory Medicine, Jichi Medical University, 4Research Laboratory, ALOKA CO., LTD.

キーワード :

【背景】
ターゲティングを目的としたナノバブルの開発が進められている[1].その画像化方法に関して検討を進める中で,送受独立型プローブを用い第3次以上の高調波を利用することで組織信号を抑制し,微弱なナノバブルの信号を得ることを検討してきた.
一方,マイクロバブルを用いた超音波造影剤も,リニア高周波プローブを用いた肝臓(術中)や乳癌,センチネル・リンパ節診断への応用も積極的に検討されてきている.しかし,従来法によるリニアプローブによる造影超音波では,対組織コントラスト比(CTR)および,深部感度の不足が指摘されている.
【目的】
第3次以上の高調波を利用することで,組織信号を抑制し,対組織コントラスト比の高い画像を得ることを目的とし,高次高調波を利用した送受独立型リニアプローブのマイクロバブルでの造影感度および深部感度を,動物実験で評価する.
【方法】
うさぎの肝臓および腎臓を対象とし,造影剤ソナゾイドを,標準の濃度0.015mL/kgで用いた.肝臓では早期相と後期相を,腎臓では早期相を観察した.診断装置は,アロカ社のProSound SSD-α10を使用した.診断プローブは,送受独立型リニアプローブ(送信振動子:2MHz,受信振動子:7MHz)とリニア型プローブUST-5412を用いた.造影剤を投与する前に,Bモード(基本波)と造影画像をそれぞれのプローブで撮影し,造影剤を投与後の決められた時間で,造影画像を撮像した.造影剤投与前後で同じ部位にROIを設定し,その輝度値を求めた.
【結果】
送受独立型リニアプローブの造影剤投与前のうさぎ肝臓の造影モード画像を図1に,投与2分後の画像を図2に示す.送受独立型リニアプローブでは,対組織コントラスト比が,現行のリニアプローブに比べ4.4dB向上した.また,深さ40mm以上でもバブルは画像化できた.また,送受独立型リニアプローブでは,送信音圧をMI0.2から0.3と音圧を増加させても,組織部分の輝度値は変化しなかった.このことより,高次高調波を利用することで組織信号が非常によく抑制されていることが推察できた.
【結論】
送受独立型リニアプローブによる高次高調波造影画像は,現行のリニアプローブと比較して,対組織コントラスト比が向上した.また,深部での造影感度も向上した.
【参考文献】
[1]今野 他,“超音波分子イメージング用ナノプローブの開発,”日本超音波医学会 第80回学術集会,2007.