Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
基礎:気泡と造影

(S307)

高次高調波を利用した高感度・高解像度造影超音波技術の基礎検討

Feasibility Study of High Contrast and High Resolution CHE Using Super-Harmonic.

射谷 和徳1, 今野 剛人2, 伊藤 貴司1, 藤原 圭祐1

Kazunori ITANI1, Taketo KONNO2, Takashi ITOH1, Keisuke FUJIWRARA1

1アロカ株式会社研究所, 2アロカ株式会社メディカルシステム技術部

1Research Laboratory, ALOKA CO.,LTD., 2Medical System Engineering Department, ALOKA CO.,LTD.

キーワード :

【目的】
超音波造影剤(バブル)は,臨床の現場で広く利用され,分子標識されたバブルによる分子イメージングの研究も進んでいる.また,バブルを高感度・高解像度に画像化する技術の開発により,診断性能の向上に加えて新たな診断手法の創出が期待される.そこで,高次高調波とパルス圧縮を組み合わせたバブルの新しい検出方式を提案し,その有効性をシミュレーションにより検証する.
【新方式】
送信アレイ(1.44MHz)と受信アレイ(7.2MHz)を独立させた新型リニアプローブを想定し,チャープ信号を送信する.受信された信号から3次以上の高調波成分を分離し,成分毎にパルス圧縮フィルターで処理した後に加算して,高感度および高解像度を実現する.
【有効性の検証】
バブルの挙動は “Modified Herring Equation” を,組織伝搬中の波形はKZK方程式を用いて反射エコーを計算した.造影剤には“ソナゾイド” を想定し,直径2.5μmとした.組織(伝搬媒体)のパラメータは,自己拡散係数2×109m2/s,非線形係数4.3とした.
新方式のシミュレーションでは,中心周波数1.44MHz,帯域500kHzのチャープ信号を送信したときのバブルからのエコー信号を求め,このエコー信号に含まれる3〜5次の高調波成分を分離し,さらに高調波成分毎にパルス圧縮フィルターで処理した後に加算して最終的な受信信号とした.現行方式では,3.5MHzのコンベックスと7.2MHzのリニアプローブを想定し,PI法を適用したときの受信信号を求めた.
このように計算された受信信号からCTR(対組織造影感度),および深さ方向の解像度(パルス幅)を求め,現行方式と比較した.CTRの計算において,バブル信号Cは上述の受信信号の振幅,組織信号Tは微小な反射体を焦点位置に置いたときに得られる受信信号の振幅とした.反射体の反射係数はコンベックスを想定した現行方法のCTRが1となるように定めた.
【結果】
バブル信号C,CTRおよびパルス幅(μs) のシミュレーション結果を表1に,バブルからの受信信号波形の一例を図1に示す.新方式では現行方式に比べて,バブル信号で17.6dB,CTRで42.5dB,深さ方向の解像度で2倍以上の改善が得られている.
【結論】
高次高調波とパルス圧縮処理を組み合わせた新方式では,造影感度と解像度の向上が期待できる.