Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

奨励賞演題:産婦人科

(S299)

双胎間輸血症候群に対する胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術後の胎児血流動態の検討

Hemodynamics of fetuses after photoscopic laser surgery with twin-twin transfusion syndrome

堀谷 まどか, 林  聡, 左合 治彦

Madoka HORIYA, Satoshi HAYASHI, Haruhiko SAGO

国立成育医療研究センター周産期診療部

Perinatology, National Center for Child Health and Development

キーワード :

双胎間輸血症候群(以下TTTS)に対して胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術(以下,FLP)を行った症例に対し,胎児のCombined Cardiac Output(以下CCO)および循環血漿量の指標として臍帯静脈血流量の計測を行い,さらに胎児心拍数の推移を併せて検討した.
【方法】
当施設にて2009年4月〜2008年9月の間にTTTSを発症し,FLPを施行した20例のうち,2児生存した18症例について術前から術当日,1,2,4,7,14,21,28日後のCCO及び臍帯静脈血流量,測定時点での胎児心拍数を測定した.CCOは胎児左右流出路のCardiac Output=Total Volume Integra ×π×血管径2/4×胎児心拍数を足して推定体重で割って算出し,臍帯静脈血流量は臍帯動脈のOutput=TVI ×π×血管径2/4×胎児心拍数を体重で割ったもので算出した.
【成績】
CCOは全ての症例で術後1-4日目をピークとして上昇し(平均供血児1.09L/min/kg,受血児 0.93L/min/kg),その後徐々に低下した.これに対し臍帯静脈血流量では供血児はCCOと同様に早期に増加し,その後低下したが,受血児の臍帯静脈血流量は術後徐々に28日後に向けて低下する傾向を示した.
【考察】
FLP治療直後より受血児および供血児ともにCCOは上昇を示したが,臍帯静脈血流量は供血児のみ上昇をしめしたが受血児には上昇を認めないことから,供血児のCCOの上昇は循環血液量の増加により引き起こされていることが予想された.また,受血児のCCOの上昇には循環血漿量以外の要因が関連している可能性が示唆されたため,胎児心拍数の推移および文献的考察をあわせて発表する.