Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

特別演題企画33 整形外科:「まずレントゲン」ですか?〜骨折と軟部組織損傷の超音波画像診断〜

(S280)

成長期スポーツ障害における超音波検診の有用性

Usefulness of medical checks using ultrasound for sports damage of growing school children.

山口 睦弘

Mutsuhiro YAMAGUCHI

労働者健康福祉機構千葉労災病院検査科

Clinical Laboratory, Chiba Rosai Hospital

キーワード :

運動器疾患への超音波によるアプローチの有用性が認められつつある中で,成長期スポーツ選手の運動器障害の早期発見のために超音波を用いた運動器検診が全国で拡がりつつある.成長期スポーツ選手の運動器障害には,単純に医学的障害だけでなく選手自身のメンタルな背景や指導者,保護者といった要素が複雑に絡み合っている.成長期スポーツ選手は,先ずは自分のチームのレギュラー選手になることから始まり,将来はプロ選手になりたいと多くの大きな夢を抱きながらスポーツに打ち込んでいるために過度な練習やトレーニングを行いがちである.また,子供達の運動器は成長過程のため成長に応じた練習やコンディショニングが必要であるが,それを理解していない指導者が多く試合必勝主義になり優秀な選手に無理を強いることも多くなる.このような状況で選手自身も運動器に痛みを感じるようになってきても自身からそれを伝えることができる環境でないことが多くその代償として選手生命を断念せざるおえない結果となることもある.大きな夢を抱きながら一生懸命取り組んできたスポーツの選手生命を断念することは,精神的未熟な成長期の子供には非常に過酷なことである.このように,肉体的にも精神的にも未熟な子供達が,夢に向かってスポーツを続けていけるこが重要であり,そのためにはスポーツ障害の早期発見,早期治療が最大の課題である.スポーツのフィールドで行う運動器検診は以前より行われているが,医師やトレーナーによる視診,触診だけであり決して精度の高い結果が得られていたとは思えない.運動器障害を早期発見するためには画像診断の導入が不可欠であるが,携帯性,利便性,コストパフォーマンスなどから考慮すると超音波がもっとも導入しやすく実施しやすい画像診診断法である.また,近年の携帯型エコー装置の進歩は目覚ましく特に画質では据置型装置と遜色がなく運動器検診に取り入れても十分な結果を見いだすことが可能である.私たちは超音波を用いた成長期スポーツ選手の運動器検診に各地で取り組んできたので,その有用性について報告する.