江本 精¹, バトスレン チョイジャムツ¹, 立花 克郎²

Makoto EMOTO¹, Batsuren CHOIJAMTS¹, Katsuro TACHIBANA²

¹福岡大学医学部産婦人科, ²福岡大学医学部解剖

¹Obstetrics & Gynecology, Fukuoka University Medical School, ²Anatomy, Fukuoka University Medical School

キーワード :

【目的】
我々は難治性腫瘍である子宮肉腫に対して低出力超音波照射の併用による血管新生阻害剤の相乗的な抗腫瘍効果を報告したが（Cancer Sci 2007），その機序は未だ不明確である．今回，抗癌剤を低用量頻回投与するメトロノミック療法と低出力超音波照射との併用療法を行い，その機序を解明した．
【方法】
我々が樹立したヒト子宮肉腫株のマウス移植モデルを用いてCPT-11を投与した後に低出力超音波を（1MHZ, 2.0w/cm2, 週3回）を腫瘍部に照射した．評価項目は1） VEGF及びTSP-1濃度，2）腫瘍内血流，3）腫瘍血管密度，4） flowcytometryによるマウス末梢血液中血管内皮前駆細胞（CEP）の比率，5）腫瘍体積，6）TUNEL法，6）マウス生存日数とした．
【結果】
In vitro では低用量CPT-11と超音波の併用はHUVECの管腔形成を有意に抑制した．In vivoでは低用量CPT-11と超音波の併用はVEGFを阻害しCEPの比率を有意に低下させた．アポトーシスの誘導とマウス生存日数の延長は超音波照射単独でも認められ，併用群の生存日数は他群と比べて有意に延長した．
【結論】
悪性度の極めて高い子宮肉腫のマウス移植腫瘍に対して，メトロノミック療法と超音波の併用による相乗的抗腫瘍効果が認められた．その機序は超音波照射によりVEGF産生が阻害され，骨髄からのCEPの動員が抑制されることによる血管新生阻害が主因と考えられた（Cancer Sci 2011）．
【文献】
1）Emoto M, Tachibana K, et al: Antitumor effect of TNP-470, an angiogenesis inhibitor, combined with ultrasound irradiation for human uterine sarcoma xenografts evaluated using contrast color Doppler ultrasound. Cancer Sci 98: 2007
2）Choijamts B, Emoto M, et al. Metronomic irinotecan chemotherapy combined with ultrasound irradiation for a human uterine sarcoma xenograft. Cancer Sci 2011, in press