Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

特別演題企画30 循環器:動脈と心室の関係(拡張期心不全 あるいは 拡張不全心を含む)

(S267)

左房-左室-動脈連関異常の早期検出:2-Dスペックル・トラッキング法による検討

Early Detection of Abnormal Left Atrial-Left Ventricular-Arterial Coupling : Evaluation by Two-Dimensional Speckle-Tracking Echocardiography

三好 宏和, 水口 幸生, 大石 佳史, 井内 新, 大木 崇

Hirokazu MIYOSHI, Yukio MIZUGUCHI, Yoshifumi OISHI, Arata IUCHI, Takashi OKI

独立行政法人国立病院機構東徳島医療センター循環器内科

Cardiovascular Section, Higashi Tokushima Medical Center, National Hospital Organization

キーワード :

【背景】
左心疾患の機能異常を評価する上で,左房-左室連関,左室-動脈連関の重要性はよく知られている.しかしながら,左房-左室-動脈連関については十分検討されていない.
【方法】
年齢を整合した健常(C群)30例(58±6.8歳)と少なくとも1つ以上の心血管危険因子を有するものの有意の心血管疾患をもたない(P群)64例(59±10歳)に対し,2-D speckle tracking(2DST)法から得られた左房・左室機能に関する各指標と頚動脈エコー法により得られた弾性指標であるstiffness parameter βとの関連性,すなわち左房-左室-動脈連関について検討した.
【結果】
C群とP群の比較においては,stiffness βと左房容積係数(LAVI)はP群において有意に大であった.しかしながら,収縮期左室最大longitudinal strainおよびstrain rate,拡張早期左室最大longitudinal strain rate,収縮期左房最大strainおよびstrain rate (各S-LAs,SR-LAs),拡張早期左房最大strainおよびstrain rate (各S-LAe,SR-LAe),心房収縮期左房最大strain rate (SR-LAa) はP群で有意に低値であった.P群での検討では,stiffness βと年齢(r=0.36, P<0.05),脈圧(r=0.46, P<0.01),LAVI(0.33, P<0.05),拡張早期左室最大longitudinal strain rate(r=-0.38, P<0.01), S-LAs(r=-0.51, P<0.001),SR-LAs(r=-0.54, P<0.0001),S-LAe(r=-0.39, P<0.01),SR-LAe(r=0.38, P<0.01),心房収縮期左房最大strain (S-LAa) (r=-0.30, P<0.05), SR-LAa (r=0.41, P<0.01)との間に有意な相関を認めた.重回帰分析では拡張早期左室最大longitudinal strain rateとSR-LAs がstiffness βの独立規定因子であることが判明した.
【結論】
心血管危険因子を有するpreclinical患者においては,頸動脈スティフネスと左房および左室拡張機能(特に長軸方向の弛緩機能)との間に密接な関連性を認めた.2DST法による左房および左室の収縮・弛緩の評価は,左房-左室-動脈連関異常の早期検出に有用であることが判明した.