Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

特別演題企画28 領域横断:画質向上の新技術と時間分解能向上の新技術

(S259)

球面拡散ビームによる高速超音波イメージング

High Frame Rate Ultrasonic Imaging with Spherically Diverging Beam

長谷川 英之1, 2, 金井 浩1, 2

Hideyuki HASEGAWA1, 2, Hiroshi KANAI1, 2

1東北大学大学院医工学研究科, 2東北大学大学院工学研究科

1Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University, 2Graduate School of Engineering, Tohoku University

キーワード :

【1. 目的】
近年,心機能・心筋性状の評価のためには,非常に短時間(10 ms程度)に生じる心臓壁振動の伝搬などの計測が有用であることが示され[1],そのためには数百Hz程度の高いフレームレート(FR)が必要である.本報告では,超音波心臓断層法のFRを従来の数十Hz から数百Hz程度まで向上させる手法を述べる.
【2. 原理】
従来のセクタ走査では送信・受信ともに集束ビームを形成するため,FRは(送信繰り返し周波数)/(走査線数) となる.一方,parallel beam forming (PBF) [2] では,広いビームを送信し,そのビーム内に複数の受信ビームを形成するため,従来のセクタ走査と同じ走査線数を得るために必要な送信回数を減少させることができる.本研究では,超音波送信繰り返し周波数6 kHz 程度(観察可能深度: 約13 cm) を想定し,送信ビーム間隔6 度と設定することにより走査範囲90 度と設定した場合(送信ビーム本数15) でも数百Hzの高FRを実現することを目指す.本報告では,広い送信ビームとして,超音波プローブ内部の仮想点音源から放射される球面波をアレイプローブにより実現した.心臓の測定の場合,狭い肋間から超音波を入射するため開口を広くとれず,平面波を用いた場合はその幅が制限されるため,セクタ走査の範囲が制限されるという問題が生じると思われる.狭い開口により広い送信ビーム幅を実現できる球面拡散ビームを用いることによりこの問題を解決することが期待される.
【3. 実験結果】
図(a)と(b)はそれぞれ,従来のセクタ走査と球面拡散ビーム送信によるPBFを用いて得られた23歳健常男性の心臓のBモード断層像である.PBFを用いた場合でも,従来のセクタ走査と比較し得る断層像を得ることができた.FRは従来のセクタ走査(図(a), 39 Hz)よりも飛躍的に高い値(図(b), 316 Hz)が達成されている.
【4. 総括】
本報告では,PBFによる高速超音波心臓断層法について検討を行い,球面拡散波を用いることにより従来のセクタ走査による心臓断層像と比較し得る断層像を高いFR(316 Hz)で計測できることを示した.