Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

特別演題企画27 消化器:胆膵超音波診断の最前線

(S256)

膵腫瘍に対するEUS-FNAの有用性の検討

Role of EUS and EUS-guided FNA of pancreatic masses

肱岡 範1, 原 和生1, 水野 伸匡1, 羽場 真1, 小倉 健1, 近藤 真也2, 田近 正洋2, 丹羽 康正2, 山雄 健次1

Susumu HIJIOKA1, Kazuo HARA1, Nobumasa MIZUNO1, Shin HABA1, Takeshi OGURA1, Shinya KONDO2, Masahiro TAJIKA2, Yasumasa NIWA2, Kenji YAMAO1

1愛知県がんセンター中央病院消化器内科, 2愛知県がんセンター中央病院内視鏡部

1Gastroetenrology, Aichi Cancer Center Hospital, 2Endoscopy, Aichi Cancer Center Hospital

キーワード :

【目的】
当センターで施行した膵腫瘍に対するEndoscopic ultrasound-guided fine needle aspiration(EUS-FNA)の成績を明らかにし,その有用性について検討すること.
【対象】
1997年1月~2008年12月の間に,当センターにおいてEUS-FNAを施行した1594例のうち,その後の治療および経過観察にて最終診断を得た膵腫瘍 673例.
【方法】
EUSの使用装置は,主に電子コンベックス型超音波内視鏡 (GF-UCT240 ; Olympus) を超音波観測装置 (ProSound α10またはSSD5500; Aloka) に接続して観察した.穿刺針は主にOlympus 社製NA-200H,NA-11J-KB,22GもしくはCook 社製ECHOTIP ULTRA 22G,25Gを使用し,症例に応じてTrucut穿刺針(Cook 社製QuickCore,19G)を使用した.EUS-FNAによる病理診断と最終診断をretrospectiveに比較し,検体採取率(AD),正診率(AC),および良悪性の鑑別における感度(ST),特異度(SP)を検討した.EUS-FNAによる病理診断と最終診断が合致した場合を正診とした.切除例では術後病理診断を最終診断とし,非切除例においては検査および画像所見とその後の経過観察から最終診断を決定した.また,EUS-FNA に際して1999年よりDiff Quik染色による迅速細胞診を行っており,迅速細胞診導入前後での正診率の比較を行った.
【検討項目】
(1)膵腫瘍の診断能, (2)迅速細胞診の有無による正診率の変化,(3)偶発症 とした.
【結果】
症例の内訳は,膵腫瘍 673例中,膵管癌474例,腫瘤形成性膵炎59例,自己免疫性膵炎53例,膵内分泌腫瘍26例,IPMN18例,SCN13例,転移性膵癌9例,MCN3例,腺房細胞癌3例,SPT2例,その他13例であった.診断能は,AD / AC / ST / SP = 99.4% / 90.8% / 88.7% / 100% であり,(2)迅速細胞診導入以前 / 以降の正診率(膵管癌474例について検討)はそれぞれ,60.0% / 96.4%であった(p<0.001).(3)出血 6例; 門脈血栓 1例 ; 脾動脈瘤破裂 1例 であり,FNAによると思われる腹膜播種は認めなかった.偶発症発生率は1.18%であった.
【考察】
EUS-FNAによる検体採取率および正診率は高く,偶発症発生率は低率であり,有用で安全な検査であると考えられた.また,正診率向上のためには,迅速細胞診を行うことは有効であることが示唆された.