Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

特別演題企画27 消化器:胆膵超音波診断の最前線

(S254)

造影超音波内視鏡検査による定量的評価を用いた胆嚢隆起性病変の鑑別診断

Quantitative analysis of contrast-enhanced endoscopic ultrasonography in the differential diagnosis of gallbradder polypoid diseases

松原 浩1, 廣岡 芳樹2, 伊藤 彰浩1, 川嶋 啓揮1, 大野 栄三郎1, 石川 卓哉1, 伊藤 裕也1, 中村 陽介2, 平松 武1, 後藤 秀実1, 2

Hiroshi MATSUBARA1, Yoshiki HIROOKA2, Akihiro ITOH1, Hiroki KAWASHIMA1, Eizaburo OHNO1, Takuya ISHIKAWA1, Yuya ITOH1, Yosuke NAKAMURA2, Takeshi HIRAMATSU1, Hidemi GOTO1, 2

1名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科, 2名古屋大学医学部附属病院光学医療診療部

1Department of Gastroenterology, Nagoya University Graduate school of Medicine, 2Department of Endoscopy, Nagoya University Hospital

キーワード :

【目的】
造影超音波内視鏡検査(CE-EUS)において胆嚢隆起性病変のエコー輝度変化の経時的な定量的解析を行い,胆嚢癌(GBCA)と胆嚢コレステロールポリープ(GBCP)の鑑別診断能を検討すること.
【方法】
対象は,2007年1月から2009年12月までに当科で第二世代超音波造影剤を用いてCE-EUSを行った連続69例の胆嚢疾患のうち,Time- intensity curve(TIC)による定量的解析が可能であった胆嚢隆起性病変31例.内訳は,病理組織学的根拠を得たGBCA17例と,B-mode画像により診断したGBCP14例.GBCPは全例1年以上の経過観察を行い,臨床的に悪性疾患を否定している.超音波内視鏡および観測装置は,Pentax製電子ラジアル型EG-3670URKと日立製Hi Vision 900,Olympus製電子ラジアル型GF-UE260-AL5とアロカ製Prosound α-10を使用した.前者はWPI(wide-band pulse inversion)法で,MI(mechanical index)値は0.16-0.23で設定,後者はExPHD(Extended pure harmonic detection)法で,MI値0.25の設定で行った.使用造影剤はSonazoid®で,perfluorobutanとして16μL(1バイアル)を注射用水2mlで懸濁し,懸濁液として0.015ml/kgを右正中静脈よりbolus injectionした.造影モードは造影ハーモニックイメージング法を用いた.EUSでB-mode観察を行い,病変描出後に造影剤を投与した.造影開始後の連続1分間と,3分後,5分後の20秒間ずつはデジタルデータで保存した.検査終了後,それぞれの超音波観測装置に内蔵されているソフトウェアを用いてTICを作成して解析を行った.TIC作成において,Region of Interest(ROI)は病変内で肉眼的に最も造影効果を認める部分の中央に,可能な限り大きく,また被検者の呼吸性変動を補正しながら決定した.本検討はすべて当施設でIRB(institutional review board)を得ており,諸検査は患者各々に対して十分なインフォームドコンセントに基づいて行った.検討項目は,1) GBCA,GBCP間で,TICによって定量化されたエコー輝度の上昇速度,上昇率,造影開始後1,3,5分の減少率を比較した.2)TICによるGBCA,GBCPの鑑別診断能をB-mode診断能と比較した.
【結果】
1)造影後3,5分後のエコー輝度の減少率は,GBCPで有意に大きかった(p=0.01,p<0.001).エコー輝度の上昇速度,上昇率,1分後の減少率では有意差を認めなかった.2)B-mode画像で1cm以下かつ有茎性病変をGBCP,それ以外をGBCAとすると,感度93.3%,特異度71.4%,正診率82.8%であった.CE-EUS診断は,1)で得られた結果をもとに5分後の減少率においてカットオフ値を算出し,5分後の減少率が50%以上をGBCP,50%以下をGBCAとすると,感度88.2%,特異度85.7%,正診率87.1%であった.
【結論】
CE-EUSは,TIC作成により胆嚢隆起性病変の定量的解析が可能であり,またGBCA,GBCPの鑑別診断に有用である.