Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

特別演題企画27 消化器:胆膵超音波診断の最前線

(S253)

総胆管結石症の診断・治療におけるIDUS(管腔内超音波検査)の有用性

Clinical utility of intraductal US for choledocholithiasis treatment

香川 幸一, 古川 善也, 花ノ木 睦巳

Koichi KAGAWA, Yoshinari FURUKAWA, Mutumi HANANOKI

広島赤十字・原爆病院消化器内科

Department of Gastroenterology, Hiroshima Red Cross&Atomic-Bomb Survivors Hospital

キーワード :

【目的】
近年,CT・MRIなどの画像進歩により,診断的ERCを行うことなく,小さな結石が指摘されるようになってきており,治療的ERCを行う症例が増加している.しかし,ERCのみでは結石が同定できない場合もあり,IDUSが臨床上非常に有用であった症例を経験することも多い.今回,総胆管結石症の診断・治療におけるIDUSの有用性をretrospectiveに検討した.
【対象と方法】
当科で総胆管結石が疑われ,ERCを施行した初回治療例413例のうち,ERCのみでは確定診断困難と判断し,引き続きIDUSを行った123例を対象とした(413例中250例はERCのみで採石を施行し,残り40例はERCにて総胆管結石を否定した症例).IDUSを施行したことで,治療方針が決定された症例の頻度とその背景を検討した.
【結果】
ERCとIDUSを施行した123例のうち,ERCにてはっきりとした総胆管結石を指摘できず,IDUS施行にても結石確認できないため終了した症例は65例であった.ERCで確定診断困難であり,IDUSをすることにより,治療方針を決定し採石を行った症例は51例で,内訳は結石31例,胆泥20例であった.一方,ERCにて結石が疑われたが,IDUSを施行することにより結石が否定された症例が7例認められ,うち4例は腫瘍であった.
【考案】
IDUSはERCに引き続いて行える,比較的簡便な検査であるが,総胆管結石が疑われERCを施行した初回治療例のうち14.0%(58例/413),IDUSを行った症例のうち47.2%(58例/123)で,IDUSを行うことにより治療方針を決定していた.IDUSを用いることで,ERCでは評価困難な胆泥についても,明瞭に描出可能であった.また,より確実に総胆管結石の診断が可能となり,不必要なESTやEPBDを避けることが可能であった.腫瘍などの他疾患であった場合には,エコー像の特徴を捉えることで,より早い段階で診断に結びつくことができた.