Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

特別演題企画27 消化器:胆膵超音波診断の最前線

(S253)

初期SS胆嚢癌の超音波像:外側高エコー層の吊り上げ肥厚と菲薄化

Ultrasound image of shallow pT2 gallbladder carcinoma is thickening or thinning of the outermost hyperechoic layer

藤本 武利

Taketoshi FUJIMOTO

平塚胃腸病院外科

Surgery, Hiratsuka Gastroenterological Hospital

キーワード :

【目的】
深達度が粘膜層・固有筋層にとどまる胆嚢癌,すなわち早期胆嚢癌は予後良好である.一方,進行胆嚢癌は拡大手術を行っても予後不良のことが多いが,2 mm以下の漿膜下層浸潤(以下,SS)に留まるSS胆嚢癌が予後良好と報告されており(Wakai Tら,2003年),この初期SS胆嚢癌のUS像を明らかにする.
【対象と方法】
1988年〜2007年までの20年間に平塚胃腸病院でUSを行ったSS胆嚢癌切除例のうち,肉眼形態が乳頭型〜結節型を示し2 mm以下のSSに留まる8例を対象として,US像・病理を対比検討した.
【結果と考察】
外側高エコー層は漿膜下深部脂肪層+漿膜に相当する.病巣表層部が高エコーで深部が不均一な低エコーを示す所見(以下,病巣深部低エコー)は,主に乳頭浸潤型胆嚢癌を示し,病理組織学的に表層部が乳頭腺癌で深部に豊富な線維化とリンパ球浸潤を伴う癌巣がみられ,7例に認められた.この内訳は,外側高エコー層の吊り上げ肥厚3例,不変3例,菲薄化1例であった.外側高エコー層は癌浸潤が深くなるにつれて一旦内腔側に吊り上げられて肥厚し,その後,病巣深部低エコーの増大により菲薄化した.一方,病巣深部低エコーを認めなかった1例は乳頭膨張型を示し,外側高エコー層が菲薄化していた.
【結論】
初期SS胆嚢癌の超音波像は癌の組織型によって2つあり,外側高エコー層の吊り上げ肥厚と菲薄化である.前者は癌浸潤が深くなるにつれて外側高エコー層が一旦内腔側に吊り上げられて肥厚し,その後,病巣深部低エコーの出現・増大により菲薄化していくものと考える.一方,後者は最初から外側高エコー層の菲薄化を示す.