Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

特別演題企画26 領域横断:携帯超音波と向き合う!

(S249)

Vscanの概要と技術的背景

Vscan Overview

小笠原 正文1, 石田 秀明2

Masafumi OGASAWARA1, Hideaki ISHIDA2

1GEヘルスケア・ジャパン株式会社超音波研究開発部, 2秋田赤十字病院超音波センター

1Ultrasound Research and Development, GE Healthcare Japan, 2Center of Diagnostic Ultrasound, Akita Red Cross Hospital

キーワード :

【はじめに】
ここ20年来の電子機器・デバイスの技術的進歩はとどまる様子を見せず,あらゆる電子機器はより小さく,より高性能に進化している.超音波診断装置も例外ではなく,直近の10年間を振り返ってもその形態を大きく進化させている.特に弊社が昨年Globalに上市したVscanは大きさ,重さ,消費電力全ての点でこれまでの超音波診断装置の既成概念を大きく変えるものであり(Fig.1),まさに携帯型超音波診断装置の幕を開けるものであった.本稿ではVscanの概要とその技術的背景について述べる.
【Vscanの概要】
Vscanは本体サイズが135mmx73mmのまさにポケットサイズの超音波診断装置である.本体に3.5インチ液晶モニターを内蔵し,プローブおよびバッテリーを含めて重さは約390gで,バッテリー駆動により約1時間の連続動作が可能となっている.動作モードはBモードとカラードプラモードをサポートし日常診療に必要な機能を有している.ユーザーインターフェースは可能な限り簡便化し指1本での操作を可能とした.また起動時間も短く,ディスプレイを開けて20秒後には即診断が可能となる.携帯型にもかかわらず,コンソールタイプに匹敵する感度,画質を備え,回診や救急診療また在宅医療など従来の超音波診断装置を超えた医療現場での応用が期待される.Vscanの技術的背景BF(Beam Former) in プローブハンドル本体を小型化するために,プローブ側に一部の整相加算回路をインテグレーションしている.これはVividシリーズで開発された2次元配列プローブで培われた技術の応用である.この技術により本体内のビームフォーマの規模が飛躍的に小さくなっている.また本体とプローブ間の信号線の数も減少するため,プローブケーブルを細くすることが可能となり,プローブのハンドリング性も携帯型に相応しく軽快な操作性を実現できた.ハードウェアの集積化近年の携帯端末機器で使われているSystem On Chip(SOP)技術や大規模FPGAを使うことにより,ポケットサイズの筐体でコンソールサイズの基本機能と性能を実現することができた.