Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

特別演題企画25 領域横断:3Dエコーでなければできないこと

(S245)

3D超音波診断の可能性 -原理・限界・将来-

Prospects of 3D ultrasound imaging -- principle and limitation --

神山 直久, 浜田 賢治

Naohisa KAMIYAMA, Kenji HAMADA

東芝メディカルシステムズ㈱超音波開発部

Ultrasound Division, Toshiba Medical Systems Corporation

キーワード :

【はじめに】
 近年,画像処理の演算速度の大幅な向上などを背景として,3D超音波診断(3DUS)が臨床でも利用されるようになってきた.3Dの技術は映画や家電にも浸透してきており,3Dの関心はブームを迎えている.一方で,Nelson and Pretorius [1]が3DUSイメージングに関する(約30頁に及ぶ)Review論文を発表したのは1998年であるが,その臨床目的,限界,将来展望などの論旨は今見直しても全くぶれていない.本発表は,3DUSの原理と利点および短所などを概説するとともに,現行の臨床応用技術についていくつか紹介する.
【3DUSの優位点】
 2DUSと比較した場合の,3DUSの優位点としては以下が挙げられる:(a) 解剖学的位置関係の把握,複雑な構造の把握,(b) 計測の正確さ,(c) インターベンションのガイド,(d) 外科医との情報共有,患者への説明のし易さ,など.解剖学的な構造把握は,熟練者であれば断層像のみで十分可能であるという意見もあるが,定量解析の精度向上については確約的ともいえるであろう.
【限界・注意点】
 3DUSが断層スキャンの集まりから構成される以上,従来から存在するアーチファクトは,基本的には全て継承してしまっていることは留意する必要がある.特に,2DUSにおいてはアーチファクトの見分け方を習得していても,3Dでは予想外な状態で出現することがある(例:シャドーイングが下から上に引く)ため,アーチファクトの発生機序を改めて熟考しておくことが必須である.また3DUSの画質は,volume rateとトレードオフの関係にあり,両者のバランスを巧く保つことで臨床上有用なデータが取得できるが,超音波が得意とする微細情報やCharacterizationは未だ2DUSが優れている.
【将来展望】
 3DUSの展望を考える際,2DUSとの優位性のみならず,CT, MRIなどのモダリティとの優位性を考慮することも不可欠である.ボリウムデータを取得しておけば,患者が去った後でも解剖学的検討が可能となることは,3DUSの特長でもあるが,リアルタイム性(即時性)という超音波の大きな利点を犠牲にしてまで有用かという点は,今後も議論されると思われる.また情報量の増大に対してどのように対処するのかも,技術的には重要な課題となっている.例えば,画像再構成の際のuser interfaceはより直感的で簡便さが要求され,新しい入力デバイスなどがそれに貢献していくと期待される.あるいは,セグメンテーションや不要エコーの除去などを自動化する画像処理技術が臨床普及のカギとなると予想される.
参考文献
[1]Nelsona and Pretoriusa, Three-dimensional ultrasound imaging. J of U in Med Biol , 24, 9, 1243-1270 (1998)