Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

特別演題企画24 産婦人科:早産に関する超音波診断の進歩

(S243)

Cervical vascular sonobiopsy: 3次元パワードプラを用いた子宮頸管熟化の評価

Cervical vascular sonobiopsy using 3D power Doppler ultrasound during pregnancy: Preliminary study

秦 利之, 野口 純子, 田中 宏和

Toshiyuki HATA, Junko NOGUCHI, Hirokazu TANAKA

香川大学医学部母子科学講座周産期学婦人科学

Department of Perinatology and Gynecology, Kagawa University School of Medicine3Dエコーでなければできないこと

キーワード :

【はじめに】
3Dパワードプラ(3DPD)とヒストグラム解析は,対象臓器のvascularityと血流量を評価することができる最新の技術であり,子宮頸管熟化の評価のための新しい診断法となり得る可能性がる.今回我々は,cervical vascular sonobiopsy (CVS)を考案し,子宮頸管熟化の評価の新しいパラメーターとしての有用性についてpreliminary studyを行ったので報告する.
【対象および方法】
妊娠10-32週の正常妊婦8例を対象とした.すべての妊婦のCLは30mm以上であった.
まず2D超音波にて子宮頸管の矢状断面を描出する.次に3DPDにて子宮頸管のvolumeデータを取得する.パワードプラの設定はPRFを0.6kHz,wall motion filterを‘low 1’に設定した.得られたvolumeデータをVOCAL® (Virtual Organ Computer-aided AnaLysis) imaging analysis (histogram analysis)を用いて解析を行った.3断面表示された断面のなかから作業断面としてA断面を選び,子宮頸管内で基準軸を直径とし内子宮口に接する球体を自動的に描出する.次に,histogram analysisを用い,球体内のvascularization index (VI),flow index (FI),vascularization flow index (VFI)の各インデックスの値を計算した.第1検者が2回計測を行い,第2検者が1回計測を行い再現性の検討を行った.
各インデックスと妊娠週数との相関について検討し,検者内と検者間の再現性についてはintra-class correlation coefficient,inter-class correlation coefficient,およびBland-Altman procedureを行い,p<0.05を有意差ありとした.
【成績】
1.各インデックスと妊娠週数との間には相関が認められなかった.2.Intra-observer agreement
VI,FI,VFIのmean difference,95% confidence interval,limits of agreementはそれぞれ1.217 (-1.807, 4.241)(-5.329, 7.763),4.656 (-2.366, 11.678)(-10.548, 19.86),0.751 (-0.544, 2.046)(-2.055, 3.557)であった.
VI,FI,VFIのintra-class correlation coefficientはそれぞれ0.775 (p<0.005),-0.201 (p=0.968),0.679 (p=0.017)であった.
3.Inter-observer agreement
VI,FI,VFIのmean difference,95% confidence interval,limits of agreementはそれぞれ0.686 (-2.21, 3.582)(-5.587, 6.959),1.969 (-5.916, 9.854)(-15.102, 19.04),0.357 (-0.985, 1.699)(-2.551, 3.265)であった.
VI,FI,VFIのinter-class correlation coefficientはそれぞれ0.971 (p<0.0001),-0.041 (p=0.538),0.694 (p=0.023)であった
【考察】
今回,子宮頸管熟化の新しい評価法としてCVSの検討を行った.しかしながら,症例数が少ないため今後さらに症例数を増して検討を行う必要があるように思われる.また,頸管短縮例,あるいは早産例での検討が重要であるように思われる.