英文誌(2004-)
特別演題企画22 循環器:大動脈弁疾患の評価と手術適応を考える
(S233)
大動脈弁疾患の手術適応と至適時期
Indications and optimal timing for surgery in aortic valve disease
大門 雅夫
Masao DAIMON
順天堂大学医学部循環器内科学
Department of Cardiology, Juntendo University School of Medicine
キーワード :
手術治療は常に一定のリスクを伴う.したがって,どのような疾患においても,その手術適応と至適時期を考える時には,「手術治療の効果がそのリスクを上回るベネフィットをもたらす」ということが原則である.手術手技および周術期管理の技術は時代とともに向上し,それに伴い手術の成績も向上を続けている.とくに大動脈弁疾患では,加齢にともなう弁の変性が弁膜症の原因として多い.そのため,大動脈弁疾患においては,高齢者への手術適応の拡大とともに手術症例数が増えている.大動脈弁疾患の臨床経過と予後,手術の効果のいずれにおいても,我が国における大規模な臨床データの蓄積は十分とは言えない.そのため,大動脈弁疾患の手術適応と至適時期に関しては,米国のガイドラインにもとづいて決められている.しかし,我々は常に「この手術が患者にとって利益となるか」ということを念頭に手術適応について考えなければならない.そのためには,個々の症例において手術リスク,期待される効果,患者さんのライフスタイル,ときには人生観も含めて考える必要がある.ここでは,米国の弁膜症の手術適応に関するAHA/ACCガイドラインをもとに,現代の様々なエビデンスも踏まえて,我々が大動脈弁疾患の手術適応をどのように考えたらよいのか考察をしてみる.