Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

特別演題企画19 泌尿器:泌尿器超音波は,CT,MRI,PET-CT と戦えるか?

(S223)

超音波はCT,MRI,PET-CTと戦えるか?保険委員・専門医委員の立場から.

Ultrasonography in Urology: from the Viewpoint of Committee of Board Certified Fellows and Payment for Medical Service

竹内 和男

Kazuo TAKEUCHI

虎の門病院消化器内科

Gastroenterology, Toranomon Hospital

キーワード :

保険委員会および専門医制度委員会の委員長という立場から,また常日頃腹部の超音波検査にて腎臓・膀胱等,泌尿器領域のスクリーニング診断に携わっている立場から,一言コメントしたい.
保険委員会:これまで第一世代,第二世代の超音波造影剤が臨床応用されてきた.慢性腎不全患者や腎機能の不安定な患者における腎腫瘍の診断では,腎機能に影響を及ぼさない超音波造影剤の臨床的意義は大きい.しかしながら,この領域における超音波造影剤の積極的使用および研究発表は十分なされてきたであろうか.文献検索するとレボビストを用いた論文を散見するが,私の個人的な印象では他の領域と比べ明らかに少ない.現在主流のソナゾイドについても適応拡大の要望がいくつかの領域から出てきているが,泌尿器領域からの声が聞こえないのはいかがなものか.
専門医制度:本学会の超音波専門医の領域別割合を見てみると,泌尿器の超音波専門医は全国で48人のみで,全専門医の2.8%に過ぎない(2011.2現在).ちまたでは腹部領域の専門医あるいは認定超音波検査士がスクリーニングで拾い上げた小さな腎臓癌を,一般の泌尿器科医が描出できない,認識できないといった困った現実もあるようだ.超音波検査は腎臓内科医および泌尿器科医の狭間で,十分に活用されていない印象がある.尿路系悪性腫瘍の見つけ出し診断では,前立腺癌はPSAに譲るとしても,腹部のスクリーニング検査として広く普及している超音波検査に優る画像診断はない.CTやMRIは次のステップの検査であろう.泌尿器科医でも腎臓内科医でもよいが,腎泌尿器系の超音波診断を専門とする若手医師が増えてくれることを望む.