Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

特別演題企画19 泌尿器:泌尿器超音波は,CT,MRI,PET-CT と戦えるか?

(S222)

腎・前立腺のPET/CT

PET/CT in Kidney and Prostate

伊藤 正敏

Masatoshi ITOH

仙台画像検診クリニック放射線科

Division of Radiology, Sendai Medical Imaging Center

キーワード :

 PETは,ブドウ糖やアミノ酸などの代謝レベルを画像化する方法論であり,組織の機能情報と形態情報を全身レベルで与えるユニークな診断法である.CTを併設したPET/CTの登場によりPETとCTの双方の利点を加算できた結果,がん診療における重要診断機器として普及してきている.さらにCTにかわってMRIを併設する(MRIの中にPET検出器を組み込む)PET/MRIが米国にて開発され被曝の低減のみならずMRIの組織識別能力とPETの良悪性の鑑別能力の実時間のドッキングが実現した.PET自体においても,検出器と処理回路の改良により,空間解像度 2 mmが実現され,ガンマ線の飛行時間差(TOF)情報を利用するTOF-PETも登場し,放射性薬剤濃度の低い組織においても信号雑音費の低い滑らかな画像が再構成されるようになった.これらの進歩によりPETの弱点であった 10 mm以下の腫瘍における情報の不確かさが克服されようとしている.また,現状で問題となっている膀胱などの強い放射能濃度の近傍の腫瘍が見えにくいという問題も改善するだろうと期待される.泌尿器科領域では,腎細胞がんや前立腺癌の糖代謝レベルが低いこととトレーサーが尿路に排泄されることからPETの応用が最も難しい分野のひとつである.しかし,転移巣の検出や治療効果の判定において現行のFDG-PETであっても十分活用可能と考える.原発巣の検出に関しては,FDGでは限界があるので,メチオニンやコリンをとレーザーとした診断法が有力である.しかし,利用できる放射性同位体である11Cの半減期が20分と短く,臨床的応用性に欠けるのが欠点である.そこで,フッ素(18F)標識による製剤化が模索されている.
 PETの泌尿器か領域,各腫瘍における現状の診断精度を概観し,今後の展開への期待について述べてみたい.