Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

特別演題企画19 泌尿器:泌尿器超音波は,CT,MRI,PET-CT と戦えるか?

(S221)

MRI所見に基づいた超音波ガイド下target生検の有用性

Ultrasound guided target-specific biopsy based on MRI findings

鴨井 和実, 沖原 宏治, 三木 恒治

Kazumi KAMOI, Koji OKIHARA, Tsuneharu MIKI

京都府立医科大学泌尿器外科学

Department of Urology, Kyoto Prefectural University of Medicine

キーワード :

【目的】
最新のMRI機器は,磁場強度の上昇によりS/N比が改善し,従来まで困難であった小さな前立腺癌病巣の描出が可能となってきた.しかし,前立腺生検における異常部位のTargetingは,従来の超音波ガイドが簡便性において優れており,両装置の利便性,有用性を融合した診断テクニックの確立が望まれている.今回,生検前dynamic contrast-enhanced MRI (DCE-MRI)に基づいた前立腺生検と超音波ドプラ法による診断に基づいた前立腺生検とを比較検討した.
【Methods】
2009年4月より2011年1月までにPSA値4 ng/ml以上で,生検前にDCE-MRIを施行した136症例と,生検前MRIを行わず,超音波ドプラ法での診断を行った192例を対象とした.MRIはT2強調画像で形態的異常の有無を判定し,ガドリニウム造影剤を使用したT1強調画像で造影部位の集中の有無を確認した.MRI,超音波ドプラ法で発見された異常部位より,1から3本のTarget生検を行い,他に8ヵ所の経会陰的系統的生検も行った.
【Results】
生検前MRIを施行しなかった192例における生検陽性率は41%(78/192),超音波ドプラ法による癌陽性的中感度は47%(37/78),特異度86%(99/115),診断的中率は71% (136/192)であった.生検前MRIを行った192例における生検陽性率は56% (76/136),DCE-MRIによる癌陽性的中感度は87% (66/76),特異度58% (35/60),診断的中率は74% (101/136)であった.MRI所見の異常部位における生検コア陽性率は66%(97/147)であったのに対して超音波ドプラ法による生検コア陽性率は38%(25/65)であった.MRI所見の異常部位のみから癌陽性であった21例のうち,7例について前立腺全摘除術が施行され,そのうち5例は臨床的に意義のある単一病巣であり,前立腺局所療法の適応であると考えられた.MRI所見陰性で癌の見つかった10例のうち6例はGleason 3+3,単一のコアより1 mm以下の小さな病変が認められており,無治療経過観察の適応と考えられた.
【Conclusions】
MRI所見に基づいたTarget生検は,前立腺局所療法の適応となる単一病変の抽出に有力なツールとなりうると考えられた.生検前MRIの有用性はコストと利益のバランス解析によって解明する必要がある.
MRI検査に基づいた前立腺生検診断による治療のアルゴリズム