Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

特別演題企画18 消化器:消化器インターベンションと超音波

(S218)

経乳頭的胆道ドレナージ困難例に対する超音波内視鏡下胆道ドレナージ(ESBD)の有用性

Efficacy of Endosonography-guided biliary drainage for difficult cases of endoscopic biliary drainage

越田 真介, 洞口 淳, 藤田 直孝

Shinsuke KOSHITA, Jun HORAGUCHI, Naotaka FUJITA

仙台市医療センター消化器内科

Department of Gastroenterology, Sendai City Medical Center

キーワード :

【背景】
経乳頭的胆道ドレナージ(EBD)困難例に対し,超音波内視鏡ガイド下胆道ドレナージ(Endosonography-guided biliary drainage:ESBD)の有用性が報告されてきており,経皮経肝的胆道ドレナージ (PTBD) に代わる新たな胆道ドレナージ手技として注目されてきている.
【目的】
ESBDの短期,及び長期治療成績を明らかにすること.
【対象】
当センターで経験した,EBD困難な胆道閉塞症のべ38例を対象とした(2007.1-2010.12).男女比は17:21,平均年齢73歳(37-88)であった.原疾患は膵癌21例,胆道癌11例,消化器癌のリンパ節転移5例,および総胆管結石に伴う急性胆管炎1例であった.
【方法】
電子コンベックス型超音波内視鏡 (GF-UCT240, Olympus Co.など) を用いて経消化管的に胆管を描出し,19Gの穿刺針で肝内胆管または肝外胆管を穿刺した.胆管穿刺後は胆汁を吸引し,胆道内を減圧した後に造影剤を注入して胆管を造影した.その後ガイドワイヤー (GW) を胆管深部まで送り込み,穿刺部をGWに被せて挿入した細径バルーンもしくはテーパードカテーテルで拡張した.拡張後は両端にフラップが付いたストレート型のPlastic stent(PS)またはcovered typeのSelf-expandable metallic stent(SEMS)を留置した.PSの交換は同軸での交換を基本とし,ステントに対しカニュレーション後にGWを胆管内に送り込み,snare-over-the-wire法でステントを回収し,新しいステントをGWに被せて留置した.ESBDの手技成功率,胆道ドレナージ効果(T-bil,ALP,γ-GTPの内2項目以上がESBD前の50%以上改善しているものをドレナージ有効とした),早期偶発症,長期予後について検討を行った.
【結果】
ESBD 38例中23例で経十二指腸的に,13例で経胃的に,2例で経腹部食道的に胆管を穿刺し,24例で肝外胆管へ,14例で肝内胆管へステント留置を行った.一期的に肝外胆管へSEMSの留置を行った5例を含め,全例でステント留置に成功し,92%(35/38)で良好なドレナージが得られた.早期偶発症は11%(4/38)でみられた(重複を含む).限局性腹膜炎を3例で認めたが,全例保存的加療で軽快した.GW逸脱が2例でみられたが,いずれも再穿刺し,胆道ドレナージ可能であった.初回ESBD後にPSを留置した16例でステントの交換が試みられた.全例で安全に交換が可能で,14例でSEMSへ,2例で10F≦のPSへの交換を行った.後期合併症は8%(3/38)でみられた.内訳は逆行性胆管炎1例,ステント迷入1例,ステント逸脱1例であった.非切除悪性胆道閉塞例で大口径ステントを留置した症例における,ステントの開存期間中央値は271日であった.
【結語】
ESBDはEBD同様に一期的内瘻化が可能で治療効果も高く,ステントの交換も安全に施行が可能である.現在のところESBDではERCPの処置具を転用しているが,今後専用処置具の開発により,確立された胆道ドレナージ手技としてさらなる普及が予想される.