Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

特別演題企画18 消化器:消化器インターベンションと超音波

(S218)

切除不能悪性胆管狭窄患者に対する超音波内視鏡下胆管ドレナージの検討

EUS-guided Biliary Drainage for inoperable malignant biliary obstruction

原 和生, 肱岡 範, 山雄 健次

Kazuo HARA, Susumu HIJIOKA, Kenji YAMAO

愛知県がんセンター中央病院消化器内科

Gastroenterology, Aichi Cancer Center

キーワード :

【背景と目的】
近年,胆膵領域におけるInterventional EUSの進歩はめざましく,中でも治療の分野は,今後ますます発展していくことが予想されている.EUS-BDは,EBD,PTBDを凌駕する手技として期待されており,我々は2003年以降,EUS-BDを切除不能悪性胆管狭窄患者63例に対して施行してきた.今回は,EUS-BDの安全性と有効性に関して検討を行った.
【対象】
2003年9月から2010年12月までにEUS-BDを試みた63例を対象とした.63例の内訳は,超音波内視鏡下胆管十二指腸吻合(EUS-guided choledochoduodenostomy: EUS-CDS)50例,経胃ドレナージ5例,経空腸ドレナージ3例,経食道ドレナージ5例(内rendezvous 4例).
【方法】
経胃,経小腸ドレナージは,EUS下で経消化管的に肝内胆管を穿刺し,穿刺経路を拡張後にステントを留置する方法とした.EUS-CDSは超音波内視鏡ガイド下に肝外胆管と十二指腸球部との間に胆管ステントを置く方法とした.
【結果】
1.手技の成功率は,94% (59/63例) であった.2.12.7% (8/63 例)に限局性の軽症から中等症までの腹膜炎を認めた.3.Direct Accessを行った55例のなかで,初回にPlastic stentを挿入した38例中7例(7/38, 18%)に腹膜炎を認め,初回に金属ステントを挿入した17例では1例(1/17, 5.9%)にのみ腹膜炎を認めた.4. 重篤な偶発症として,IVRを要した出血1例,ステント迷入を1例に認めた.5. EUS-BDの手技に要した時間は中央値30 分 (range10-52)であった.6. 術翌日から経口摂取が可能であった.7. ステントを挿入可能であった全例(53/53例)に良好な肝機能障害の改善が得られた.8. 12例に穿刺時腹水を認めたが,手技は全例に成功し,偶発症も認めなかった.9. EUS-BDと十二指腸ステントとの併用を5例に実施し,互いに干渉し合うことなく良好に機能した.
【まとめ】
EUS-BDは,比較的安全に施行可能であった.全例で良好な肝障害の改善を認めており,胆道ドレナージとして有効な方法であると思われた.十二指腸ステントとの併用も可能であり,十二指腸狭窄例に対しても有用な方法であると思われた.
【考察】
EUS-BDは,比較的安全で有効な手技であると考えられるが,EUS-BDの普及のためには,より安全に行うための処置具の組み合わせや開発が必要であると思われた.