Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

特別演題企画18 消化器:消化器インターベンションと超音波

(S217)

胆膵領域おけるEUSガイド下ドレナージ術の当院での治療成績

Outcomes of EUS-guided drainage in our hospital

今井 元, 北野 雅之, 工藤 正俊

Hajime IMAI, Masayuki KITANO, Masatoshi KUDO

近畿大学医学部附属病院消化器内科

Gastroenterology and Hepatology, Kinki University Faculty of Medicine

キーワード :

【目的】
近年,胆膵領域におけるEUSを用いたドレナージ術は急速に普及しつつある.当院でも2005年からEUS下穿刺術を用いて膵仮性嚢胞ドレナージ術(EUS-PCD),胆道ドレナージ術(EUS-BD),膵管ドレナージ術(EUS-PD)をそれぞれ実施してきた.今回,当院におけるEUSガイド下ドレナージ術についての治療成績を報告する.
【対象と方法】
2006年4月から2010年11月までにEUS-PCD41例,EUS-BD39例,EUS-PD 3例実施した.方法はコンベックス型超音波内視鏡(GF-UC240T)を使用して,膵仮性嚢胞,肝内胆管,肝外胆管,胆嚢,膵管に対して19G穿刺針を穿刺し,0.035inchGWを留置した.その後Soehendra式胆道拡張用カテーテル6Fr〜10Frを用いて穿刺孔を拡張し,それぞれにステントを留置した.EUS-PCDは基本的には膵管との交通がなく,6cm以上で6週間以上経過した膵仮性嚢胞に対して実施した.ただし6cm以下で6週間経過していなくても有症状で保存的加療に反応しない場合は積極的に実施した.EUS-BDおよびEUS-PDについては内視鏡的経乳頭的ドレナージ術が困難な症例に対して実施した.
【成績】
EUS-PCDは内外瘻術を19例,内瘻術を17例,穿刺のみを5例に実施した.内外瘻術を行った全症例において縮小もしくは消失を認めたが,内瘻術の症例では1例において,穿刺術の症例では3例で改善を認めなかった.全体では90.2%(37/41)で仮性膵嚢胞の縮小もしくは消失した.1例において嚢胞の改善が認めず外科的加療となった.EUS-BDはステント留置部位として,十二指腸-肝外胆管(17例),十二指腸-肝内胆管(1例),胃-肝内胆管(9例)胃-胆嚢(8例)十二指腸-胆嚢(1例),経乳頭的(Rendezvous法3例)であった.偶発症は6例に術後限局性腹膜炎を,ステント迷入,逸脱をそれぞれ1例ずつ認めた.5例に術後逆行性胆管炎が生じたが,瘻孔部からのアプローチで狭窄部にメタリックステントを留置することで軽快した.全症例で,最終ステント留置後1ヶ月以内に血清ビリルビン値もしくは炎症反応は正常化した.EUS-PDは膵胃吻合再建術後の膵管吻合部の狭窄症例2例,慢性膵炎による膵管狭窄症例1例に施行した.慢性膵炎による膵管狭窄症例はRendezvous法で経乳頭的に主膵管内にステント留置を行った.3例ともにステント留置に成功し,症状が改善した.
【結語】
膵仮性嚢胞に対するEUS-PCDは有効な治療手段である.またERCPが困難な症例に対するEUS-BD,EUS-PDは有用な手技であり,今後デバイス及び穿刺ルートの選択を吟味することで更なる治療成績の向上が期待できると考えられる.