Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

特別演題企画18 消化器:消化器インターベンションと超音波

(S215)

胆管近接病変に対するGd-EOB-MRIによる仮想超音波支援下RFA

Radiofrequency ablation for the nodule adjacent to major bile duct

広岡 昌史, 越智 裕紀, 小泉 洋平, 畔元 信明, 木阪 吉保, 古川 慎哉, 阿部 雅則, 熊木 天児, 日浅 陽一, 恩地 森一

Masashi HIROOKA, Hironori OCHI, Yohei KOIZUMI, Nobuaki AZEMOTO, Yoshiyasu KISAKA, Shinya FURUKAWA, Masanori ABE, Teru KUMAGI, Yoichi HIASA, Morikazu ONJI

愛媛大学大学院先端病態制御内科学

Department of Gastroenterology and Metabology, Ehime University

キーワード :

【背景】
ガドキセト酸ナトリウムによる肝造影MRI検査は肝実質相において肝実質の造影効果のみではなく胆管の造影効果もみられる.このため造影MRIではT1強調像において門脈,胆管,腫瘍が同時に認識できる唯一の画像検査である.造影MRI検査より仮想超音波像を構築することで,超音波画像上での胆管走行の把握が可能となる.胆管に近接した肝癌局所療法に有用なモダリティーになりうる.
【目的】
肝造影MRI検査において胆管描出能を検討し,胆管に近接した肝癌局所療法に対する有用性を明らかにすることを目的とした.
【方法】
症例は2009年4月より2010年10月までの201症例.平均年齢は68.0±10.0歳.男性148例,女性53例.Child-Pugh Aが171例,Bが23例,Cが7例であった.3テスラMRI装置で158例,1.5テスラMRIで43例に撮影した.右葉前区域枝,右葉後区域枝,左葉枝に分け描出枝を検討した.このうち胆管近接症例19例にRFAを行った.
【結果】
右葉前区域枝,後区域枝,左葉枝で2次分枝より末梢の描出能は74.1%,80.1%,74.6%であった.その分岐形態は右後区域枝のいわゆる北回り走行が73.1%,左外側区域枝では全例北回り走行であった.左葉内側区域枝の合流形態は左葉1次分枝合流が62.7%,B3合流が5.5%にみられた.B2とB3合流については門脈臍部より外側が14.9%,頭側が31.8%,内側が27.8%にみられた.2次分枝に近接する腫瘍に対し肝造影MRIより仮想超音波像を作成し上述の合流形態と胆管走行を把握した上でRFAを施行した.MRIからの仮想超音波像はMDCTからの画像と異なり腫瘍と胆管が同時に描出され解剖学的位置関係を把握可能になるという利点があった.胆管損傷の合併症はみられなかった.
【まとめ】
胆管近接病変において胆管損傷を防ぐため肝造影MRIを支援画像とした局所療法が有用である.一方で胆管描出不良例も存在しMRI撮像方法の工夫が必要と考えられた.