Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

特別演題企画18 消化器:消化器インターベンションと超音波

(S214)

超音波融像システムを用いたインターベンション

The intervention using an ultrasonic fusion image system

三浦 隆生1, 小川 眞広1, 阿部 真久1, 塩澤 克彦1, 杉山 尚子1, 山本 義信1, 石綿 宏敏1, 森山 光彦1, 石田 秀明2

Takao MIURA1, Masahiro OGAWA1, Masahisa ABE1, Katsuhiko SHIOZAWA1, Naoko SUGIYAMA1, Yoshinobu YAMAMOTO1, Hirotoshi ISHIWATA1, Mitsuhiko MORIYAMA1, Hideaki ISHIDA2

1駿河台日本大学病院内科, 2秋田赤十字病院超音波センター

1Gastoroentererology and Hepatology, Nihon University School of Medicine, 2Center of Diagnostic Ultrasound, Akita Red Cross Hospital

キーワード :

【目的】
超音波検査の長所は非侵襲性の検査であることと空間分解能の高いことが挙げられるが逆に欠点として客観性の低さが挙げられる.特に超音波検査は画像の描出範囲がプローブの幅に制限されるため穿刺などを行う際にも視野が狭くなることより思わぬ偶発症を起こすこともある.近年超音波診断装置に磁気センサーが搭載され他の画像診断との空間座標補正が可能になり同一画面上での両者の比較が可能となり大幅な客観性の改善が期待されている.さらにGPS機能を用いた位置情報含有するNavigationシステムも搭載され肝像領域におけるインターベンションにおいての有用性は高まったと考えられる.今回我々は,肝疾患におけるインターベンションにおいての時期センサー搭載型超音波診断システムを活用しその有用性を検討したので報告する.
【方法】
使用装置はGEヘルスケア社製LOGIQE9,使用探触子C1-5,9Lである.対象は超音波ガイド下で治療を行う症例で術前にほぼ同時期にCTまたはMRI画像が施行された症例とした.超音波のreference画像としてはCTまたはMRIのDICOM画像または装置内蔵ソフトを用いて事前に取得した関心領域を1方向にscanした超音波画像のraw dataのvolume dataとした.造影超音波検査はsonazoid 0.015ml/kgまたは0.5ml/bodyの急速静注で行い撮影はCPI(Coded phase inversion mode),またはphase inversion法を用いた.
【成績】
肝細胞癌を始めとする肝腫瘍性病変においては,超音波の視野の狭さを補い全体像を把握しながら最も安全な穿刺ルートが決定できるため極めて有用であることが確認された.さらに超音波で描出し難い部位の腫瘍に対してはReference画像を頼りにしっかりと描出できることはもちろん,描出し難い腫瘍の異なる断増面(肋弓下⇒肋間など)での走査時にGPS機能用いることで最適な走査断面の検出に大幅に時間の短縮が可能となった.また,穿刺治療後の治療効果判定には術前の腫瘍像がB-modeで描出しにくくなるため術前のreference画像を用いることで正確に評価をすることができた.
【結論】
問題点としてはCT・MRI画像の取り込みや位置合わせに手間がかかる点と吸気・呼気,圧迫の程度の差による画像の違いが出るためにscanごとに微調整をする必要がある点が挙げられたが全体的なイメージが得られ確認できることが治療時には重要であると考えられた.Navigation systemとraw data保存を用いた磁気センサー搭載超音波診断装置はこれまでの超音波診断の弱点を克服し肝のインターベンションに対し安全かつ正確に施行することが確認され極めて有用であると考えられた.