Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

特別演題企画18 消化器:消化器インターベンションと超音波

(S214)

EOB-MRI肝細胞相をリファレンスとしたRVSの肝細胞癌診療における有用性

The usefulness of Real-time Virtual Sonography referenced by hepatobiliary phase of Gd-EOB-DTPA enhanced MRI

坂本 梓, 木村 達, 恵荘 裕嗣, 齋藤 澄夫, 岡部 純弘, 喜多 竜一, 大崎 往夫

Azusa SAKAMOTO, Toru KIMURA, Yuji ESO, Sumio SAITO, Yoshihiro OKABE, Ryuichi KITA, Yukio OSAKI

大阪赤十字病院消化器科

Gastroenterology and Hepatology, Osaka Red Cross Hospital

キーワード :

【背景】
Gd-EOB-DTPA造影MRI(以下EOB-MRI)の登場は,しばしば非多血性肝細胞性結節をEOB-MRI肝細胞相で低信号として描出し,肝細胞癌診療の現場に大きな衝撃を与えた.このような非多血性肝細胞結節に対し,組織採取やRFAなどのさらなる診断・治療手技を加えるためには,USでの描出が不可欠である.今回我々は,EOB-MRI肝細胞相をリファレンス画像としたReal-time Virtual Sonography (以下EOB-RVSと呼ぶ)を用いて非多血性肝細胞性結節の描出を試みたので報告する.
【対象と方法】
EOB-MRI肝細胞相で,周囲肝より低信号を呈し,dynamic CT,dynamic MRIないしは血管造影下CTにて非多血性を確認した慢性肝疾患患者32症例42結節を対象とした.全例ルーチンのUSおよび,EOB-RVSを施行し,それぞれ結節の検出能を比較した.内19結節にはSonazoid造影超音波Kupffer相における欠損像の有無を検討した.23結節には肝生検を施行し組織学的検討を行った.
【結果】
平均腫瘍径は1.4±0.4cm.USでの検出率は,RVS施行前のルーチンUSで61.9 %(26/42)結節)に比し,EOB-RVSでは 85.7%(36/42結節)と向上した.USの死角に存在し描出が不可能な3結節を除けば,EOB-RVS下での検出率は92.3%と高い結果であった.一方,Sonazoid造影超音波Kupffer相での検出率は10.5 %(2/19結節)と低かった.生検例23結節の内,20結節(87.0%)が肝細胞癌と診断された.
【考察】
EOB-MRI肝細胞相で低信号を呈する非多血性結節は,通常異型性結節から高分化肝細胞癌に至る境界病変とされ,Sonazoid造影超音波のKupffer相ではこういった結節の検出率が低いことは既報の通りである.今回の検討において,EOB-RVSを用いることにより,非多血性結節の多くをUSにて同定することができ,その後の生検やRFAが可能となった.空間分解能の高いUSと,結節の機能を反映するEOB-MRI肝細胞相を組み合わせた本法は,非多血肝細胞結節に対しきわめて強力な診断・治療支援画像といえる.今後,このような非多血性肝細胞結節の診療指針を決定し,患者の予後改善に寄与するか否か検証することが大きな課題と考えられる.
【結語】
EOB-RVSは非多血性肝細胞性結節の診断・治療に有用である.