Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

特別演題企画12 領域横断:診療報酬点数表でなぜ超音波は画像診断ではないのか? 問題点と対策

(S185)

診療報酬点数表でなぜ超音波は画像診断ではないのか?循環器領域からみた問題点と対策

Why is not ultrasonography classified as a diagnostic imaging in reimbursement of medical fees:Problem and countermeasure in echocardiography

松村 誠

Makoto MATSUMURA

埼玉医科大学国際医療センター心臓内科

Department of Cardiology, Saitama Medical University International Medical Center

キーワード :

【はじめに】
超音波検査は現在,診療報酬点数表の中で第2章-第3部の検査として第3節生体検査の項目に入っている.一方,X線,核医学,CT検査など放射線関連の検査は第4部の画像診断として区分されている.超音波検査も放射線検査と同様に画像情報を基に病気を診断するものであり,医療関係者の多くは本法を“画像診断”を行う検査と考えている.診療報酬点数表における両者の違いは,単なる分類上の問題だけではなく,実際の診療点数及び加算項目に表れている.たとえば,CT検査と超音波検査を比較すると,超音波検査で請求できるのは検査料だけであるが,CTでは撮影料の他に診断料を請求することができる.また,CTでは使用する診断装置の性能の違いによって基本点数が異なり,高性能の機種を使用した場合,高いを点数を請求できるが,超音波検査では同じである.その他,CT検査には多くの加算項目(電子画像管理加算,画像管理加算1,2,時間外緊急院内画像診断加算,造影剤注入手技料,冠動脈CT撮影加算など)が用意されている.そこで,超音波検査が“画像診断”として診療報酬表に組み込まれるための要件について検討し,循環器領域からみた問題点と対策について考察する.
【問題点と対策】
“画像診断”として必要な条件は①検査方法,記録部位,計測項目,記録媒体,保存方法,報告書の形式,が統一されていること②専門施設の登録③検者担当医あるいは検査士の専門性あるいは資格の有無が明確にされていること④診断装置の性能が分類されていること,と考えられる.①は検査の客観性を保証するためのものである.心エコーでは適応や判読法に関するガイドラインはあるが,検査手順を含めた検査方法,記録方法などについての指針はない.心臓の検査では良好な画像が得られるのは全体の70〜80%程度に留まるため,検査の統一化は現実的には難しい状況である.しかし,血管領域では,超音波医学会を中心に検査の標準化が提案され,一定の成果がでてきていることから,循環器領域における心エコーでも取り組むべき課題である.②と③は検査の質を保証するための要件であり,診断料,画像管理加算を想定した条件である.超音波医学会の専門医研修施設,専門医,超音波検査士などがこれに相当する.④は放射線では装置の性能により撮影料が異なることを考慮したものである.超音波装置ではCTやMRIなどと異なり,高性能と標準性能に分類する基準がない.現時点では解決することは難しく,今後の課題である.