英文誌(2004-)
特別演題企画11 体表:乳腺・甲状腺の硬さ評価2011
(S181)
甲状腺の組織弾性評価 -組織弾性測定と組織弾性イメージング-
Evaluation of tissue elasticity in thyroid ultrasonography: quantification and imaging
三谷 康二, 平 美乃, 重田 真幸, 松永 肇, 大黒 晴美, 貴田岡 正史
Kohji MITANI, Yoshino TAIRA, Masayuki SHIGETA, Hajime MATSUNAGA, Harumi DAIKOKU, Masafumi KITAOKA
公立昭和病院内分泌・代謝内科
Division of Endocrinology and Metabolism, Showa General Hospital
キーワード :
組織の硬さを評価するための機能を搭載した超音波検査機器が,各メーカーから登場してきている.その測定の原理はそれぞれ独自のものが開発されており,評価法もBモード画像上にカラーを乗せてイメージングとして表示するもの,2つの部位の弾性の比という形で半定量的に表す方法,弾性度・速さなどの物理量として数値化するものなど様々である.今回我々は複数の機種で甲状腺の組織弾性評価を行う機会に恵まれたので,その経験を報告する.
使用した超音波検査機器は各メーカーで製造されたもので,以下のようにそれぞれが異なった原理に基づく組織弾性評価法を有している.
① SuperSonic Imagine社(Aixplorer)
組織に収束超音波による音響放射圧(ARFI:Acoustic Radiation Force Impulse)を加えることで発生する剪断弾性波(shear wave)を利用する.組織の弾性はその速さから計算してkPa単位で表され,各画素子の値をカラーに対応させてBモード画像に表示される(SWE:Shear Wave Elastography).
② Siemens Medical Solutions USA社(ACUSON S2000)
①と同様にARFIによって発生させたshear waveの速さを計測する.組織の弾性は,ROI内のshear waveの速さの平均値として表現される(VTTQ:Virtual Touch Tissue Quantification).またARFIによって生じた組織の歪みを,グレースケールによって定性的に表示する機能も備えている(VTTI:Virtual Touch Tissue Imaging).
③ 日立メディコ社(HI VISION Preirus)
用手的圧迫操作を加え,複合自己相関法で組織の変位をとらえ,それから算出された組織の歪みをカラーでBモード画像に重ねて表示する(Real-time Tissue Elastography).プローブ先端に装着した標準物質との比を見ることで,半定量的な評価も可能である.
④ 東芝メディカルシステムズ社(AplioXG)
③と同様にプローブ操作で組織に圧迫を加え,それによるプローブとの距離の時間的変化を基にその組織のひずみを計算し(組織ドプラ法),strenographyとして二次元画像にカラーで表示する.
同一患者を異なる超音波検査機器で計測した結果などを基にして,これらの評価法間の比較についても触れたい.