Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

特別演題企画11 体表:乳腺・甲状腺の硬さ評価2011

(S181)

甲状腺・副甲状腺疾患における組織弾性イメージングの新たなる展開

New development of tissue elasticity imaging in thyroid and parathyroid disease

鈴木 眞一

Shinichi SUZUKI

福島県立医科大学器官制御外科学講座,乳腺内分泌甲状腺外科

Division of Breast Endocrine Thyroid Surgery, Department of Organ Regulatory Surgery, Fukushima Medical University

キーワード :

 甲状腺・副甲状腺疾患の超音波診断において,Bモード,ドプラモードに次いでエラストグラフィー(組織弾性イメージング,elasticity imaging以下EI)が開発され,多く使用されるようになった.
EIの原理からの分類としては,1)複合自己相関法,2)組織ドプラ法,3)ARFI (Acoustic Radiation Force Impulse)4)Shear Waveなどがある.複合自己相関法のReal-time Tissue Elastgraphy(以下RTE)は一番最初に実用化され,多数の症例を経験している.最近いくつかの機器が開発されそれぞれにEIのアプリケーションを装着し,機器によっては複数のアプリケーションを搭載しているものも出現している.今回はこれらの器機を用い,その有用性につき検討した.
 対象は,当科で施行した甲状腺・副甲状腺超音波診断の際にEIを併施した.使用したEIは,まずRTEについては,EUB7500,8500,7000,Preirus,Avius(いずれも日立メディコ)を用いて行った.またRTEに準じたダイレクトストレイン法であるLOGIQE9(GE Healthcare)についても検討した.組織ドプラ法としてはAplioXG3.0(UIIP-790 IP Board Kit含む,東芝メディカル),またARFIはアキュソン2000(持田シーメンス),Shear Waveについては前出のアキュソン2000とAixplorer (Supersonic imagine, キャノンマーケティング)について検討した.
【結果】
1)RTE定性診断では,Grade分類(臨床画像 27:92-97,2011)により検討した.有意差を持って良性結節ではGrade1,2,悪性結節ではGrade3,4を示し,明らかに悪性結節のほうが歪まない,すわわち硬いことがわかった.
2)RTEにおける定量診断としてStrain Ratio(結節のstrain/胸鎖乳突筋のstrain)を求め,これも有意さを持って悪性の結節は低値を示し,良悪性のカットオフ値は0.4であった.RTEではとくに甲状腺濾胞癌と濾胞腺腫の鑑別には有用であった.
3)Aplioによる組織ドプラ法では,主に定量判定を行い良悪性に有意差を認め,またRTEの結果とも有意の正の相関を示した.
4)アキュソン2000およびAixplorlerさらにLOGIQE9での検討も行った.
5)RTEでは胸鎖乳突筋にかわりに既知の硬さを有する標準物質による専用カプラの装着により,より再現性の高い定量法を検討した.
 以上のように,多数のEIの器機につき検討し,その特徴と今後の展望につき解説する.