Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

特別演題企画8 血管:超音波による血管不全診断

(S173)

超音波による大動脈病変の標準的評価法(案)の提案

Standard Method for Ultrasound Evaluation of Aortic Lesions

松尾 汎

Hiroshi MATSUO

松尾クリニック

Matsuo Medical Clinic

キーワード :

大動脈の観察に超音波(以下エコー)が用いられているが,その評価法や表示法には未だ標準化がなされていない.動脈硬化性疾患が増加する中,今や大動脈の超音波による評価法の標準化は急務である.検査対象は,胸部は解離,瘤,高安動脈炎,狭窄・縮窄,アテローム硬化,動静脈瘻,腹部では解離,胸腹部・腹部瘤,紡垂状・状瘤,炎症性瘤,arteriomelagy,Leriche,shagy aorta,人工血管,ステントグラフト挿入後の評価,動静脈瘻などが挙げられる.特に,大動脈解離と解離性大動脈瘤の鑑別,大動脈瘤も真性(最多),解離性,仮性の形態を鑑別するのが必要である.アプローチ法は,経胸壁心エコーでは,①大動脈基部〜上行大動脈近位部:左傍胸骨アプローチ(左側臥位),②上行大動脈中部〜遠位部:右傍胸骨アプローチ(右側臥位),③弓部〜下行大動脈上部:胸骨上窩アプローチ(仰臥位),④下行大動脈中下部:心窩部アプローチにて観察する.胸骨左縁から心臓をウインドウに観察する.背部からのアプローチで観察できる場合もある.経食道アプローチでは,上行,弓部,胸部下行大動脈の観察が可能である.プローブはセクタ型を用いるが,胸骨上窩からの弓部,下行大動脈の観察には,マイクロコンベックス型も有用である.経食道アプローチではマルチプレーン探触子を使用する.表示法は,長軸像では画面に向かって左側を中枢(心臓側),右側を末梢とする.短軸像では画面に向かって左側を被検者の右側が表示される像とする.ただし,経食道法に関しては,経胸壁と超音波のアプローチが異なるため,画面表示を経胸壁アプローチと同一にするのは困難である.胸部での観察は,瘤の形態・大きさ,壁在血栓,偽腔内血流の有無,アテロームの厚さ・可動性,縮窄部の圧較差,弓部分枝動脈の異常,弾性(β値)などがある.腹部は,仰臥位で上腹部アプローチとする.プローブはコンベックス型を使用する.観察は,瘤,解離,アテローム,血栓,狭窄,縮窄などの有無,瘤がある場合は瘤径,血栓,マントルサインの判定などを行う.大動脈の瘤径計測は,長軸像では瘤が最大と推測される断面の長軸直交最大径を計測する.短軸像(推奨)では瘤が最大と推測される部位における長軸直交断面の直径(類円形)あるいは短径(楕円形)を計測する(図).径計測は,外膜間距離で行う.ただし,限局拡張例や嚢状瘤では長径を計測する.