Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

特別演題企画8 血管:超音波による血管不全診断

(S171)

冠動脈硬化症を最も反映する非侵襲的血管検査指標は何か?

Which Noninvasive Vascular Index does Reflect Coronary Artery Stenosis?

西尾 進1, 山田 博胤2, 楠瀬 賢也2, 玉井 利奈1, 佐藤 光代1, 冨田 紀子2, 林 修司2, 添木 武2, 赤池 雅史2, 佐田 政隆2

Susumu NISHIO1, Hirotsugu YAMADA2, Kenya KUSUNOSE2, Rina TAMAI1, Mitsuyo SATO1, Noriko TOMITA2, Syuji HAYASHI2, Takeshi SOEKI2, Masashi AKAIKE2, Masataka SATA2

1徳島大学病院超音波センター, 2徳島大学病院循環器内科

1Ultrasound Examination Center, Tokushima University Hospital, 2Cardiovascular medicine, Tokushima University Hospital

キーワード :

【はじめに】
近年,各種非侵襲的血管検査法が普及し,その有用性が確立されつつある.血流依存性血管拡張反応(FMD)を用いた血管内皮機能検査,Stiffness parameter β(β)や心臓足首血圧指数検査(CAVI)による血管弾性検査,頸動脈エコー検査などである.これらの指標は,それぞれ冠リスクファクターとの関連が報告されているが,どの指標が最もよく冠動脈硬化を反映するかは明らかではない.そこで,冠動脈硬化と最も関連する指標について検討した.
【方法】
対象は当院循環器内科で冠動脈疾患が疑われ,冠動脈造影検査を施行した124例(68±9歳,男性83例)である.冠動脈造影検査前に,空腹下でFMD検査を施行し,次いでCAVI,頸動脈エコー検査を施行した.FMD検査はUNEX社製UNEX EF,CAVI検査はフクダ社製VaSera VS1500-E,頸動脈エコー検査はアロカ社製Prosound α10を用いた.βはエコートラッキング法を用い,プラークスコアは総頸動脈〜内頸動脈のプラーク厚の総和とした.主要冠動脈に75%以上の狭窄を認めた例をCAD群(96名),狭窄率が50%以下をnonCAD群とした.
【結果】
両群の平均年齢(CAD:69±8 vs. non CAD:67±11歳,p=0.178)に有意差はなかった.FMD(3.9±2.1 vs. 4.2±2.7%,p=0.270),CAVI(8.7±1.3 vs. 8.3±1.2,p=0.194),Stiffness parameter β(11.0±4.2 vs.11.4±4.3,p=0.323),総頸動脈径(7.5±0.9 vs. 7.6±0.9mm,p=0.242)に関しては両群間に有意差を認めなかったが,CAD群の平均 IMT(0.94±0.14 vs. 0.87±0.16 mm,p=0.029),最大IMT(2.24±0.65 vs. 1.66±0.83 mm,p=0.001),プラークスコア(11.8±6.7 vs. 6.0±6.7,p<0.001)はnon CAD群と比べて有意に大であった.プラークスコア≧4.6をカットオフ値とすると,感度83%,特異度62%でCAD群を予測できた.
【結語】
CAD群ではnon CAD群に比べ,平均IMT,最大IMT,プラークスコアが有意に大であったがFMD,CAVI,βには有意差を認めなかった.後者は早期動脈硬化のスクリーニング法として提唱されているが,何らかの冠危険因子をもつ患者において,冠動脈硬化を最も反映する指標は頸動脈エコー検査でのプラークスコアであった.