Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

特別企画
特別企画3 学会とは何か
特別演題企画5 領域横断:日本超音波医学会の役目は何か(他の超音波関連学会との連携)

(S149)

日本超音波医学会の役目は何か?(他の学会との連携)-検診(健診)の立場から-

What is the duty of the Japanese society of ultrasonics in medicine ? (Collaboration with other societies )From the position of screening ultrasound-

三原 修一

Shuichi MIHARA

日本赤十字社熊本健康管理センター内科

Department of Internal Medicine, Japanese Red Cross Kumamoto Health Care Center

キーワード :

我々は,1983年度から腹部超音波検診を行っており,2007年度までの25年間に170万人の受診者から1,678例の悪性疾患を発見してきた.1992年度からは乳腺・甲状腺の超音波検診を行っており,乳腺超音波検診においては2007年度までの16年間に20万人の受診者から293例の乳癌を発見した.超音波検査は,安全,安価,簡便な検査で,現在では人間ドックや集団検診などの検診分野においても,肝胆膵腎脾などの腹部臓器,乳腺・甲状腺などの体表臓器,腹部大動脈・頸部血管など血管のスクリーニング検査として広く普及しており,今後も益々需要は大きくなっていくと思われる.しかし,超音波スクリーニング(検診)の現場を見ると,十分な技術を持ったスクリーナー(医師,技師)が検査を担当し,専門医による的確な読影が行われている施設は極めて少ない.ほとんどの施設では,不十分なスクリーニング技術と読影技術で検査が行われている状況であり,今後この状況を如何に改善していくかが大きな課題である.すなわち,十分な技術を持った技師の養成と,指導する医師の養成である.超音波検診に関与している医学会は,本学会を始め,日本超音波検査学会,日本消化器がん検診学会,日本がん検診・診断学会,日本人間ドック学会,日本総合健診医学会,日本乳癌検診学会などがある.日本消化器がん検診学会では,走査法・判定基準に関するガイドラインが作成され,認定技師制度の確立に向けて動いている.全ての地方会に超音波部会が設置され,程度の差はあるが部会活動も行われている.日本総合健診医学会では,日本消化器がん検診学会と合同で,超音波スクリーニング研修講演会が開催されている.人間ドックにおいては,ほとんどの施設で超音波スクリーニングが行われており,日本人間ドック学会においても,超音波検査技術向上に向けての対策は大きな課題となっている.本学会においても,超音波検査士制度に健診領域が加わり,技師のレベルアップを図っている.また,全国労働衛生団体連合会では,超音波検診の精度向上のため,超音波検査調査部会を設置し,3年間に渡るパイロットスタディーを行っている.これらの学会および地方会において,超音波検診に関する特別企画,講演会,研修会などが随時なされており,私も演者や講師として参加する機会が多い.また,熊本ではメーカーと協賛で医師会員および技師を対象とした講演会(講習会)を継続しており,八代地区,天草地区,宇城・上益城地区,熊本市,玉名地区,菊池郡市で実施してきた.現代の医療において超音波は必要不可欠なものとなっているが,特に超音波スクリーニングは手軽で身近な検査,多くの情報が瞬時に得られる検査として極めて重要な位置を占めている.今後,スクリーニング(検診)の現場においては,超音波検査の精度を高め,質の高い検査を普及していくことが喫緊の課題であり,日本超音波医学会は関連学会の中枢の医学会としてその役割を全うしていく義務があると考えている.