瀬尾 由広

Yoshihiro SEO

筑波大学大学院人間総合科学研究科循環器病態学

Cardiovascular Division, Graduate School of Comprehensive Human Sciences, University of Tsukuba

キーワード :

【三次元スペックルトラッキング心エコー図法の現状】
三次元スペックルトラッキング心エコー図法（3D-STE）は心周期による心臓全体の動きに影響を受けにくく，より正確な心筋運動を評価できる可能性がある．一方，その低い時間分解能が問題視されてきたが，最近ではvolume rateの向上し，空間分解能も改善している．現在，東芝社製Artidaに加えてGE社製Vivid E9でも3D-STEを行うことができる．
【心内膜面積変化による壁運動評価】
3D-STEの空間分解能および時間分解能は向上しているが，これらの制限は未だにtracking errorを生じさせる原因である．従ってradial, circumferential, およびlongitudinal strainは一次元の指標であるが故にtracking errorの影響を受けやすいと言える．一方，3D-STEでは心内膜面の局所を面として追跡できる．この方法をArea trackingと呼び，局所の二次元の変形度合いを評価することができる．Area trackingには長軸と円周方向の情報が反映されるので小さな局所壁変形を検出でき．また，2方向の情報が反映されることでtracking errorの影響を受けにくい．東芝社製ではこの面積変化の指標をArea change ratio; ACRと呼ぶ．我々はACRを従来のstrainと比較する実験を行い，ACRが鋭敏な局所壁運動指標であることが示唆された（図参照. 図説Prop, propranolol infusion; Dob, dobutamine infusion; Isc, acute ischemia）．ACRの臨床的意義はこれからの課題であるが，心筋虚血などの心内膜心筋障害の検出が有用な疾患への応用が期待される．
参考文献
1.Seo Y et al. Validation of 3-dimensional speckle tracking imaging to quantify regional myocardial deformation. Circ Cardiovasc Imaging 2009;2:451-9.
2.Seo Y et al. Usefulness of Endocardial Surface Area Tracking in Assessing Regional Left Ventricular Wall Deformation with Three-dimensional Speckle Tracking Imaging. JACC imaging in press.