Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

一般ポスター
体表:乳腺・甲状腺・表在・その他

(S524)

超音波診断装置を用いた前額部シワの評価-シワの深さと超音波断層像との関係

Evaluation of forehead wrinkle profile with ultrasonography

塚原 和枝1, 小山内 宰1, 堀田 光行1, 藤村 努1, 北原 隆1, 武馬 吉則1, 辻本 文雄2

Kazue TSUKAHARA1, Osamu OSANAI1, Mitsuyuki HOTTA1, Tsutomu FUJIMURA1, Takashi KITAHARA1, Yoshinori TAKEMA1, Fumio TSUJIMOTO2

1花王株式会社生物科学研究所, 2聖マリアンナ医科大学臨床検査医学講座

1Biological Science Laboratories, Kao Corporation, 2Department of Laboratoriy Medicine, St. Marianna University School of Medicine

キーワード :

【目的】
加齢に伴い形成される顔面のシワには長期紫外線曝露や乾燥等による真皮の機能低下や,表情筋による動きが関与するという報告は多いが,皮下組織に着目した報告は見当たらない.今回シワ部の皮下組織構造とシワの深さとの関係を知るために,前額部の皮下組織の超音波断層像を用いて検討した.
【対象と方法】
21歳から75歳までの健常成人173名を対象とした.対象の抽出に際し,年齢間での差異を明瞭化するために年齢分布が集束するように配慮した.その結果,年齢群として21-28歳群(平均25.4歳,男性20名,女性22名,計42名),35-41歳群(平均37.8歳,男性22名,女性22名,計44名),47-59歳群(平均52.3歳,男性22名,女性22名,計44名),65-75歳群(平均69.0歳,男性22名,女性21名,計43名)となった.前額部からレプリカを採取し三次元形状計測装置を用いてシワの最大深さ(maximum roughness ; Rmax)を計測した.超音波診断装置は東芝メディカル社製,Aplio XV,中心周波数12MHzのリニア型プローブを用いた.前額の横方向に走向するシワに対して垂直方向に撮像した.超音波画像から観察される皮下組織の輝度分布を,画像解析装置を用いて解析した.超音波画像から,シワのある皮膚ではシワの最深点を計測中心に,シワのない皮膚では採取中央を計測中心として,いずれも幅12.5mmの範囲で皮下組織を計測領域とした.この皮下組織の領域の輝度分布について閾値を決定し,その閾値以上の輝度の計測領域における輝度占有率,すなわち面積比(%)を求めた(図1).
【結果】
加齢に伴い,皮下組織の輝度は減少しRmaxは増加した.Rmaxと皮下組織の輝度との間には負の相関があったが,相関係数を比較すると年齢の影響が強いことが示された.そこで各年齢群に分けて検討すると,21-28歳群,35-41歳群,47-59歳群では輝度のばらつきが大きく若齢者でも輝度が低い皮膚が存在したが,いずれもRmaxと輝度との間に相関関係はなかった.しかし65-75歳群を対象にRmaxと輝度との関係を検討すると負の相関が認められた.
【結語】
シワが深いと皮下組織の輝度が低いことが示された.さらにこのシワの深さと皮下組織の輝度との関係は,特に高齢者でより顕著であった.